両側冠動脈起始部にステント留置して救命し得たA型急性大動脈解離の1例

症例は45歳, 男性. ショックを伴う胸痛を主訴に当院へ救急搬送された. 心電図で広範な誘導でST-T上昇および低下を認めたため左冠動脈主幹部を責任病変とする急性冠症候群を疑い血管造影室へ移動した. 左大腿動脈が触知不良だったため腹部動脈造影を施行したところ偽腔開存型大動脈解離を認め, Stanford A型急性大動脈解離に随伴する急性冠閉塞の診断にいたった. 冠動脈造影では右冠動脈起始部に高度狭窄がみられたが, 左冠動脈主幹部には形態学的狭窄は明らかでなく層流に造影されのみであったため血管内超音波検査を使用したところ, 左主幹部周囲に冠動脈内腔を圧排する開存偽腔を認めた. 両側冠動脈起始部に...

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Veröffentlicht in:心臓 2012, Vol.44(3), pp.333-338
Hauptverfasser: 木村, 舞, 秋間, 崇, 西村, 貴絵, 石川, 徹, 村岡, 直人, 影山, 智己, 長友, 祐司, 神吉, 秀明, 島村, 吉衛, 林, 一郎, 石川, 士郎, 村山, 晃
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は45歳, 男性. ショックを伴う胸痛を主訴に当院へ救急搬送された. 心電図で広範な誘導でST-T上昇および低下を認めたため左冠動脈主幹部を責任病変とする急性冠症候群を疑い血管造影室へ移動した. 左大腿動脈が触知不良だったため腹部動脈造影を施行したところ偽腔開存型大動脈解離を認め, Stanford A型急性大動脈解離に随伴する急性冠閉塞の診断にいたった. 冠動脈造影では右冠動脈起始部に高度狭窄がみられたが, 左冠動脈主幹部には形態学的狭窄は明らかでなく層流に造影されのみであったため血管内超音波検査を使用したところ, 左主幹部周囲に冠動脈内腔を圧排する開存偽腔を認めた. 両側冠動脈起始部にステントを留置したところ, 心筋虚血および血行動態の速やかな改善が得られた. その後, 待機的に上行大動脈置換術および冠動脈バイパスグラフト術を施行し生存退院, 社会復帰に成功した. 今回, われわれは, 両側冠動脈起始部に解離が進展し, 重篤な心筋虚血およびショックに陥った急性大動脈解離症例に対し両側冠動脈起始部にステント留置することにより救命し得た1例を経験した. また, その際の診断に血管内超音波が極めて有用であったので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.333