脳梗塞に対するrecombinant tissue plasminogen activator投与後に急性発症したコレステロール結晶塞栓症の1例

症例は73歳, 男性. 主訴は呼吸不全, 網状皮斑であった. 右上下肢の麻痺と失語にて発症した脳梗塞に対して 近医でrt-PA(recombinant tissue plasminogen activator)を投与された. しかし, 症状の改善は認めず, rt-PA投与6時間より尿量低下, 呼吸促迫となり, 同時に下腿から腹部にかけて網状皮斑が出現し, コレステロール塞栓症が疑われ, 当センター紹介となった. ステロイドパルス療法, 持続血液濾過透析, および血漿交換を施行し, 皮疹は改善傾向となった. しかし, 腸管壊死による汎発性腹膜炎が生じたため, Treitz靭帯より80cmを残した...

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Veröffentlicht in:心臓 2011, Vol.43(10), pp.1380-1385
Hauptverfasser: 宮本, 哲也, 畑, 憲幸, 工藤, 健史, 小野, 真義, 小野, 雄一郎, 馬越, 健介, 伊藤, 岳, 高橋, 晃, 佐野, 秀, 高岡, 諒, 当麻, 美樹, 田代, 敬
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は73歳, 男性. 主訴は呼吸不全, 網状皮斑であった. 右上下肢の麻痺と失語にて発症した脳梗塞に対して 近医でrt-PA(recombinant tissue plasminogen activator)を投与された. しかし, 症状の改善は認めず, rt-PA投与6時間より尿量低下, 呼吸促迫となり, 同時に下腿から腹部にかけて網状皮斑が出現し, コレステロール塞栓症が疑われ, 当センター紹介となった. ステロイドパルス療法, 持続血液濾過透析, および血漿交換を施行し, 皮疹は改善傾向となった. しかし, 腸管壊死による汎発性腹膜炎が生じたため, Treitz靭帯より80cmを残した広範囲小腸切除と全結腸切除を施行した. しかしながら, この時点で家族がこれ以上の侵襲的な集中治療の継続を拒否したため, second look operationや持続血液濾過透析を断念した. 患者は第11病日に敗血症性多臓器不全が進行し死亡した. 高度の動脈硬化, rt-PA投与後の急性発症, 四肢の網状皮斑, 網膜動脈内のコレステロール塞栓の存在, 摘出した腸管壁内の小動脈内コレステロール結晶塞栓の存在などより, 本例はrt-PA投与後にコレステロール結晶塞栓症を合併したと考えられた. 本例は血管内カテーテル操作後や血栓溶解療法後に合併する稀な疾患であるが, 近年の血管内治療の普及とともに報告例も散見される. しかしながら, 脳梗塞に対するrt-PA投与後に急性発症した症例は渉猟し得なかったため, 文献的考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1380