後壁梗塞に合併症し心原性ショックをきたした前乳頭筋断裂の1例
症例は, 70歳, 女性. 急性冠症候群の診断で救急搬送となった. 来院時Killip IVで, 心尖部に収縮期雑音を認めた. 胸部X線写真では著明な肺うっ血, 心拡大を認め, 心電図ではV2~5でST低下を認めた. 経胸壁心臓超音波検査は, 肥満のため観察困難であったが, 重度の左室壁運動異常は指摘できず, 軽度の僧帽弁逆流を認めるのみであった. 血液検査では, トロポニンT陽性であったが, ほかの心筋逸脱酵素の上昇は認めなかった. 心原性ショックを合併した急性冠症候群と考え, 大動脈内バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping; IABP)補助下に冠動脈造...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 心臓 2011, Vol.43(10), pp.1367-1372 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 症例は, 70歳, 女性. 急性冠症候群の診断で救急搬送となった. 来院時Killip IVで, 心尖部に収縮期雑音を認めた. 胸部X線写真では著明な肺うっ血, 心拡大を認め, 心電図ではV2~5でST低下を認めた. 経胸壁心臓超音波検査は, 肥満のため観察困難であったが, 重度の左室壁運動異常は指摘できず, 軽度の僧帽弁逆流を認めるのみであった. 血液検査では, トロポニンT陽性であったが, ほかの心筋逸脱酵素の上昇は認めなかった. 心原性ショックを合併した急性冠症候群と考え, 大動脈内バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping; IABP)補助下に冠動脈造影を施行したところ, 高位側壁枝に完全閉塞を認めた. 引き続き, 経皮的冠動脈ステント留置術を施行し良好な再灌流を得た. しかしながら, 血行動態は全く改善せず悪化の一途をたどり, 経皮的心肺補助を導入せざるを得ない状態となった. この時点で, 乳頭筋断裂に伴う急性僧帽弁閉鎖不全を疑い, 経食道心臓超音波を施行したところ, 前乳頭筋の完全断裂による重度の僧帽弁逆流を認めた. 直ちに僧帽弁置換術が施行され, 以後, 良好な経過で退院となった. 後壁梗塞に伴う前乳頭筋断裂は稀な合併症であるが, 極めて重篤な経過をたどることが多く, 念頭に置くべき病態と考え, 報告した. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.1367 |