B-21 当院における静脈血栓塞栓症予防と患者発生時対応への組織的な取組みと成果
「はじめに」: 肺血栓塞栓症(以下肺塞栓症)は, いったん発症すると重症化し致命的な進行をたどることが知られており, 病院としての組織的な取組みが求められている. 当院では2008年4月に静脈血栓塞栓症予防・患者発生時対応に関するプロジェクトチームが発足し, オンライン・リスク評価と予防法決定システムのマニュアルを構築し運用を開始した. 今回, 短期間ではあるが本システム開始後の肺塞栓症の発生頻度について調査し検討を加えた. 「方法」: 上記プロジェクト発足から2年間の周術期・非周術期に発生した肺塞栓症, および院外発症の症例について後方視的に内容の検討と以前との比較を行った. 「結果」: 2...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2011, Vol.43 (7), p.1034-1034 |
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Hauptverfasser: | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」: 肺血栓塞栓症(以下肺塞栓症)は, いったん発症すると重症化し致命的な進行をたどることが知られており, 病院としての組織的な取組みが求められている. 当院では2008年4月に静脈血栓塞栓症予防・患者発生時対応に関するプロジェクトチームが発足し, オンライン・リスク評価と予防法決定システムのマニュアルを構築し運用を開始した. 今回, 短期間ではあるが本システム開始後の肺塞栓症の発生頻度について調査し検討を加えた. 「方法」: 上記プロジェクト発足から2年間の周術期・非周術期に発生した肺塞栓症, および院外発症の症例について後方視的に内容の検討と以前との比較を行った. 「結果」: 2年間での肺塞栓症発症例は院内外計11例であった. 院内発症症例は4例で, プロジェクト開始前と比較すると院内非周術期の発症が散見(計3例)されるものの, 周術期発症例(計1例)は明らかに減少した. 周術期の症例は交通多発外傷の症例で, 最高リスクの評価で可能な限りの予防策を施行したが, 結果的に緊張性気胸の合併, 呼吸不全で死亡した. 「考察」: 当院でプロジェクトチームが発足して以降2年間の周術期肺塞栓発症は明らかに減少した. 統一したオンライン・リスク評価, 適切な抗凝固療法導入, 適切な間欠的空気圧迫法の導入などによる予防効果が実現されていると考えられ, 今後も継続していくことの重要性が認識された. 今回の調査でみられた交通外傷多発外傷症例などの最高リスク症例では, 最善の努力を行っても発生する可能性は今後も十分あり得ると予想されるため, 厳格なインフォームドコンセントを含め, チームとしても最大限の努力が必要であると痛感させられた. また, 今回, 非周術期広範型肺塞栓症2例を救命し得たのは, プロジェクトの一環であるスタッフ教育が生かされたと考えられ, 予防・早期発見・早期治療を行うために日常から院内職員全体に啓発・教育を続けていく必要があると考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 |