B-17 低分子ヘパリン(エノキサパリン)による予防的抗凝固療法の投与モニタリング法の確立

「緒言」近年, 臨床使用が可能となった低分子ヘパリン(エノキサパリン)の帝王切開術後投与は, 諸外国のガイドラインでも推奨されている. 特に, イギリスでは, すべての帝王切開を受ける妊婦は, 予防的ヘパリン療法を受けるべきであるとされ1), フランスにおいても緊急帝王切開や3つ以上のリスクを有する予定帝王切開では7~14日間の低分子ヘパリン投与を行うとしている2). しかし, そのモニタリングは不要とされているものの副作用は皆無ではなく, 例えば処置後, 血腫は約1.8%とされる. また, 硬膜外カテーテル挿入や自然抜去に伴う脊髄硬膜下血腫の発生は稀であるが, 下半身麻痺などの重篤な合併症を...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2011, Vol.43 (7), p.1021-1024
Hauptverfasser: 牧野真太郎, 杉村基, 菅直子, 斉藤知見, 依藤崇志, 田中利隆, 竹田省
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」近年, 臨床使用が可能となった低分子ヘパリン(エノキサパリン)の帝王切開術後投与は, 諸外国のガイドラインでも推奨されている. 特に, イギリスでは, すべての帝王切開を受ける妊婦は, 予防的ヘパリン療法を受けるべきであるとされ1), フランスにおいても緊急帝王切開や3つ以上のリスクを有する予定帝王切開では7~14日間の低分子ヘパリン投与を行うとしている2). しかし, そのモニタリングは不要とされているものの副作用は皆無ではなく, 例えば処置後, 血腫は約1.8%とされる. また, 硬膜外カテーテル挿入や自然抜去に伴う脊髄硬膜下血腫の発生は稀であるが, 下半身麻痺などの重篤な合併症をきたす可能性がある. そのため, これらの出血性合併症を防ぐための適切な評価法の確立が必要と考えられる. 今回, われわれはエノキサパリンによる周産期予防的抗凝固療法に際して, 凝固線溶系指標による至適投与モニタリングについて検討を行ったので報告する.
ISSN:0586-4488