速伝導路アブレーションが奏功したAHブロックを伴う通常型房室結節リエントリー性頻拍の1例

症例は70歳代, 男性. 主訴は胸部不快感. 上室頻拍, 房室ブロック, 心筋梗塞にて入院. 頻拍停止時に10秒の心停止を伴い失神したため, ペースメーカー植え込みを行った. 右冠動脈が閉塞した3枝病変で冠動脈バイパス術を行った. 術後も絶え間なく頻拍が持続していたため電気生理学的検査(electrophysiologic study; EPS) を行った. PQ時間は358msecでAHブロックであった. 頻拍は心房および心室からの早期刺激にて容易に停止, 誘発が可能であった. 頻拍中の心房最早期興奮部位はヒス束電位記録部位であった. 室房伝導は減衰伝導を呈し, 心房最早期興奮部位は頻拍中と...

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Veröffentlicht in:心臓 2010, Vol.42(12), pp.1635-1639
Hauptverfasser: 井上, 勝, 松原, 隆夫, 安田, 敏彦, 三輪, 健二, 金谷, 法忍
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は70歳代, 男性. 主訴は胸部不快感. 上室頻拍, 房室ブロック, 心筋梗塞にて入院. 頻拍停止時に10秒の心停止を伴い失神したため, ペースメーカー植え込みを行った. 右冠動脈が閉塞した3枝病変で冠動脈バイパス術を行った. 術後も絶え間なく頻拍が持続していたため電気生理学的検査(electrophysiologic study; EPS) を行った. PQ時間は358msecでAHブロックであった. 頻拍は心房および心室からの早期刺激にて容易に停止, 誘発が可能であった. 頻拍中の心房最早期興奮部位はヒス束電位記録部位であった. 室房伝導は減衰伝導を呈し, 心房最早期興奮部位は頻拍中と一致した. 頻拍中のヒス束電位記録部位での興奮パターンはH→A→Vで, ヒス束が不応期での心室プログラム刺激が頻拍をリセットしなかった. 通常型(slow-fast) 房室結節リエントリー性頻拍と判断したが, 房室結節2重伝導路の証明は困難で, 誘発時にAH時間の著明な延長に依存していなかった. 完全房室ブロックを起こさない安全な焼灼部位の判断が困難であったが, ペースメーカーが植え込まれており室房伝導の心房最早期興奮部位をカルトシステム使用下に焼灼した. 焼灼開始6秒で室房伝導は消失し, 以後, 頻拍の誘発は不能となった. 術後1年で頻拍の再発はなく房室伝導は保たれていた. AHブロックを合併した通常型房室結節リエントリー性頻拍に対して, 房室伝導を温存し速伝導路の焼灼に成功した1例を経験した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.1635