症例 緊急冠動脈バイパス術前に施行した血栓吸引療法が有効であった急性心筋梗塞および冠動脈慢性完全閉塞を合併した冠動脈拡張症の1例
「Abstract」症例は胸痛を主訴とした54歳の男性で, 心電図ではIII, aVF誘導でST部分の上昇, V1~6誘導でST部分の低下, 心臓超音波検査では下後壁の無収縮が認められた. 冠動脈造影では右冠動脈および左前下行枝の中間部で冠動脈の拡張を, 同部位に完全閉塞が認められた. 左前下行枝の病変は慢性完全閉塞と考えたため, 右冠動脈の病変に対して経皮的冠動脈形成術を行った. 血栓吸引療法およびバルーンカテーテルによる病変部の拡張によりTIMI灌流度分類のgrade 3の血流が得られたが, 冠動脈の拡張部分に多量の血栓像が認められた. 血管内超音波検査では最大血管径は7.8mmであった....
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Veröffentlicht in: | 心臓 2010, Vol.42 (10), p.1296-1301 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「Abstract」症例は胸痛を主訴とした54歳の男性で, 心電図ではIII, aVF誘導でST部分の上昇, V1~6誘導でST部分の低下, 心臓超音波検査では下後壁の無収縮が認められた. 冠動脈造影では右冠動脈および左前下行枝の中間部で冠動脈の拡張を, 同部位に完全閉塞が認められた. 左前下行枝の病変は慢性完全閉塞と考えたため, 右冠動脈の病変に対して経皮的冠動脈形成術を行った. 血栓吸引療法およびバルーンカテーテルによる病変部の拡張によりTIMI灌流度分類のgrade 3の血流が得られたが, 冠動脈の拡張部分に多量の血栓像が認められた. 血管内超音波検査では最大血管径は7.8mmであった. 血栓吸引を繰り返したが十分な血栓は吸引できず, 末梢で塞栓が生じた. 左前下行枝が閉塞している病態を考慮し, 右冠動脈および左前下行枝に冠動脈バイパス手術を施行した. 術後のワルファリンによる抗凝固療法などにより血栓は消失し, 下後壁の無収縮は軽度の低収縮に改善した. 急性心筋梗塞を合併した2枝閉塞の冠動脈拡張症の症例を経験したが, 経皮的冠動脈形成術および冠動脈バイパス手術の組み合わせにより心筋障害を抑制できた. |
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ISSN: | 0586-4488 |