森論文に対するEditorial Comment: 心臓CT検査の増加に伴い発見される心室憩室について

本論文は, 診断に造影CTが有効であった, 右室憩室の興味深い症例報告である. 本症例は, 腎結石の精査のために施行した全身CT検査の際に, 前縦隔に腫瘍像を認め, 縦隔腫瘍が疑われた. 同腫瘍像は, 造影CTでは右室心尖部より細い交通路で連絡する嚢状の構造物として描出され, 心臓カテーテル検査の右室造影でも, 右室から茎状構造物を経由して造影される収縮性のない小腔として描画された. 交通路が狭いことやその形態から右室憩室と診断され, 無症候性であることより, 経過観察とされた. 心室憩室か心室瘤か, その用語の定義はいまだ不明かつ議論があり, 一定の結論には達していない. これまで, この2...

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Veröffentlicht in:心臓 2010, Vol.42(4), pp.494-494
1. Verfasser: 寺岡, 邦彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本論文は, 診断に造影CTが有効であった, 右室憩室の興味深い症例報告である. 本症例は, 腎結石の精査のために施行した全身CT検査の際に, 前縦隔に腫瘍像を認め, 縦隔腫瘍が疑われた. 同腫瘍像は, 造影CTでは右室心尖部より細い交通路で連絡する嚢状の構造物として描出され, 心臓カテーテル検査の右室造影でも, 右室から茎状構造物を経由して造影される収縮性のない小腔として描画された. 交通路が狭いことやその形態から右室憩室と診断され, 無症候性であることより, 経過観察とされた. 心室憩室か心室瘤か, その用語の定義はいまだ不明かつ議論があり, 一定の結論には達していない. これまで, この2つの名称はしばしば同様に使用されてきた. 正常の筋層を有し, 壁厚が厚く, 心室と同期した収縮が保たれているものを心室憩室と呼び, 線維質で一部に筋層を残す壁を有し, 無収縮のものを心室瘤と呼ぶこともある. 心室憩室が心室と狭い経路で連絡しているのに対して, 心室瘤は広い連絡路を有するとされている1).
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.494