松本論文に対するEditorial Comment

本論文は, 炎症性腹部大動脈瘤の外膜に浸潤した炎症性細胞中, 特に形質細胞に, 高率でIgG4が産生される病態を, 近年, 注目されてきたほかの臓器線維症におけるIgG4産生性形質細胞浸潤の病態と等価に考えることを提唱した点で1), 高く評価されよう. 以前より, 炎症性腹部大動脈瘤と後腹膜線維症, さらには尿管周囲炎については, 病変のひろがりや, 病理組織所見の異同から, 同一の病態に包含される可能性が指摘されてきたが, 特に, Mitchinsonは, 詳細な病理組織学的検討から, 大動脈内腔の拡張の有無によらず, 大動脈内膜のアテローム硬化, 中膜の菲薄化, 外膜への炎症性細胞浸潤と外...

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Veröffentlicht in:心臓 2010, Vol.42(4), pp.470-471
1. Verfasser: 石井, 寿晴
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:本論文は, 炎症性腹部大動脈瘤の外膜に浸潤した炎症性細胞中, 特に形質細胞に, 高率でIgG4が産生される病態を, 近年, 注目されてきたほかの臓器線維症におけるIgG4産生性形質細胞浸潤の病態と等価に考えることを提唱した点で1), 高く評価されよう. 以前より, 炎症性腹部大動脈瘤と後腹膜線維症, さらには尿管周囲炎については, 病変のひろがりや, 病理組織所見の異同から, 同一の病態に包含される可能性が指摘されてきたが, 特に, Mitchinsonは, 詳細な病理組織学的検討から, 大動脈内腔の拡張の有無によらず, 大動脈内膜のアテローム硬化, 中膜の菲薄化, 外膜への炎症性細胞浸潤と外膜の線維化の関係を包括して, この領域の嚆矢となる, 慢性大動脈周囲炎(chronic periaortitis)なる疾患単位を提唱した2). この病態は, 大動脈瘤状態の有無は別として, 現在, 広く用いられている炎症性腹部大動脈瘤(inflammatory abdominal aortic aneurysm), と完全に一致する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.42.470