115分の心肺蘇生後PCPS・低体温療法により救命したアルコール性心筋症の1例

症例は43歳,女性.アルコール依存症でトルサードドポアンツ(torsade de pointes; TdP)による痙攣・意識障害の既往があった.今回心肺停止となり心肺蘇生と2次救命処置を行ったが,TdP・心室細動(ventricular fibrillation; Vf)が持続,アミオダロン静注と大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping; IABP)を開始し,心肺停止から115分後に心拍再開した.心エコーで著明な心機能低下を認め,緊急冠動脈造影では有意狭窄を認めず経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support...

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Veröffentlicht in:心臓 2009, Vol.41(12), pp.1369-1375
Hauptverfasser: 中村, 牧子, 砂川, 長彦, 前野, 大志, 松岡, 満照, 宮良, 高史, 新城, 治, 當真, 隆, 野村, 征司, 高岡, 諒
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は43歳,女性.アルコール依存症でトルサードドポアンツ(torsade de pointes; TdP)による痙攣・意識障害の既往があった.今回心肺停止となり心肺蘇生と2次救命処置を行ったが,TdP・心室細動(ventricular fibrillation; Vf)が持続,アミオダロン静注と大動脈内バルーンパンピング(intra-aortic balloon pumping; IABP)を開始し,心肺停止から115分後に心拍再開した.心エコーで著明な心機能低下を認め,緊急冠動脈造影では有意狭窄を認めず経皮的心肺補助(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS)を開始し34℃24時間の低体温療法を行った.急性腎不全,肝不全,敗血症を合併したが持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration; CHDF),血漿交換,抗生物質で改善.心機能は徐々に回復し第64病日の左室造影で左室駆出率69%,心筋生検では脂肪浸潤と好中球浸潤を認めた.心臓電気生理検査では3連刺激でもTdP・Vfは誘発されなかった.第82病日独歩退院となり,以後断酒し1年経過後も心機能良好で社会復帰している.本例は心拍再開まで約2時間経過していたが,有効な心肺蘇生の継続とPCPS・低体温療法が脳保護および救命に有効であったと考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1369