心機能改善後に末梢血好酸球が著増した好酸球性心筋炎の1例

症例は29歳, 男性. 2008年7月上旬, 冷汗を伴う腹痛と38℃の発熱が出現, 2日後に解熱したが, 腹痛に加え労作時呼吸困難も出現したため, 当院を受診. 胸·腹部CT検査で胸·腹水および心液貯留を認め, 心筋逸脱酵素上昇, 心電図変化, 心臓超音波検査で著明な壁肥厚を伴うび漫性左室壁運動低下所見から, うっ血性心不全を合併した急性心筋炎と診断した. 第1病日よりカルペリチド, 免疫グロブリン投与を開始した. 第5病日より血液検査で好酸球が上昇し始め, 第14病日には好酸球数は6,120/µLまで増加した. 左室収縮能は正常化していたが, 第21病日に診断確定のための心臓カテーテル検査を...

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Veröffentlicht in:心臓 2009, Vol.41(9), pp.1053-1059
Hauptverfasser: 関塚, 宏光, 明石, 嘉浩, 龍, 祥之助, 三宅, 良彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は29歳, 男性. 2008年7月上旬, 冷汗を伴う腹痛と38℃の発熱が出現, 2日後に解熱したが, 腹痛に加え労作時呼吸困難も出現したため, 当院を受診. 胸·腹部CT検査で胸·腹水および心液貯留を認め, 心筋逸脱酵素上昇, 心電図変化, 心臓超音波検査で著明な壁肥厚を伴うび漫性左室壁運動低下所見から, うっ血性心不全を合併した急性心筋炎と診断した. 第1病日よりカルペリチド, 免疫グロブリン投与を開始した. 第5病日より血液検査で好酸球が上昇し始め, 第14病日には好酸球数は6,120/µLまで増加した. 左室収縮能は正常化していたが, 第21病日に診断確定のための心臓カテーテル検査を施行. 心筋生検の結果より好酸球性心筋炎と判明した. 組織診断確定後にプレドニゾロン30mg/日の内服を開始し, 第26病日には好酸球数は正常範囲内にいたった. 急性心筋炎に対するステロイド投与に関して一定の見解がいまだないが, 好酸球性心筋炎はステロイド治療が有効との報告が多い. 本症例のように心筋炎の臨床所見と末梢血好酸球数との間に解離が見られたこともあり, ステロイドによる治療開始時期が遅れることもあり得るため注意が必要である.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1053