下壁梗塞にて左室内血栓が生じ全身性塞栓症をきたした1例

症例は69歳, 女性. 突然の右下肢運動·感覚障害が出現し緊急搬送された. 来院時右下肢冷感, 疼痛著明であり, 急性下肢動脈閉塞の疑いで造影CTを施行したところ, 右総腸骨動脈完全閉塞と肝内多発性腫瘤を確認. また高度貧血(Hb 5.1g/dL)と心電図にて急性下壁心筋梗塞の合併が疑われた. 下肢動脈および冠動脈造影検査を緊急施行し, 右冠動脈と右総腸骨動脈閉塞を確認. 救肢目的に右総腸骨動脈閉塞に対し外科的血栓除去術を施行し成功するも, 直後に多発性脳塞栓を発症した. 心エコーにて下壁基部の壁運動低下部位に一致し長径10mm大の有茎性球状血栓を確認した. 抗凝固療法開始するも4日後に意識レ...

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Veröffentlicht in:心臓 2009, Vol.41(6), pp.689-695
Hauptverfasser: 神野, 泰, 安齋, 均, 増田, 慶太, 寺内, 靖順, 大井, 邦臣, 野口, 達哉, 西原, 崇創, 西, 裕太郎, 高尾, 信廣, 林田, 憲明
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は69歳, 女性. 突然の右下肢運動·感覚障害が出現し緊急搬送された. 来院時右下肢冷感, 疼痛著明であり, 急性下肢動脈閉塞の疑いで造影CTを施行したところ, 右総腸骨動脈完全閉塞と肝内多発性腫瘤を確認. また高度貧血(Hb 5.1g/dL)と心電図にて急性下壁心筋梗塞の合併が疑われた. 下肢動脈および冠動脈造影検査を緊急施行し, 右冠動脈と右総腸骨動脈閉塞を確認. 救肢目的に右総腸骨動脈閉塞に対し外科的血栓除去術を施行し成功するも, 直後に多発性脳塞栓を発症した. 心エコーにて下壁基部の壁運動低下部位に一致し長径10mm大の有茎性球状血栓を確認した. 抗凝固療法開始するも4日後に意識レベル低下を伴う広範脳塞栓が再発し, 直後の心エコーで左室内血栓は消失していた. 後日施行した内視鏡で進行直腸癌を認めた. 急性下壁梗塞に左室内血栓を生じることは極めて稀であるが, 悪性腫瘍などの凝固亢進状態に冠動脈再灌流未施行などの状況が加わると下壁梗塞においても左室内血栓を生じる可能性があり, 注意を要すると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.689