心嚢穿刺後にたこつぼ心筋障害をきたし, 左室内血栓を形成した1例

症例は69歳, 男性. 胸部不快感·息切れを主訴に他院受診し, 心嚢水貯留を指摘され当科紹介受診. 心電図上低電位と心臓超音波検査上著明な心嚢水貯留·振り子様運動を認め, 心タンポナーデと診断した. 心穿刺によるドレナージ施行後, 症状は改善し, 入院となったが, 入院第4病日, 心電図上V2~5で巨大陰性T波が出現し, 超音波検査で心尖部を中心とした壁運動異常認め, 左室駆出率は32%と低下していた. また心尖部に2cm大の血栓形成を認めた. 緊急冠動脈造影上は有意狭窄認めず, たこつぼ心筋障害に伴う左室内血栓形成と診断し, 抗凝固療法を開始. 第8病日の超音波検査にて壁運動改善と血栓の消失...

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Veröffentlicht in:心臓 2009, Vol.41(5), pp.527-532
Hauptverfasser: 内山, 貴史, 福澤, 茂, 前川, 順平, 稲垣, 雅行, 杉岡, 充爾, 沖野, 晋一, 池田, 篤史, 市川, 壮一郎, 小澤, 俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は69歳, 男性. 胸部不快感·息切れを主訴に他院受診し, 心嚢水貯留を指摘され当科紹介受診. 心電図上低電位と心臓超音波検査上著明な心嚢水貯留·振り子様運動を認め, 心タンポナーデと診断した. 心穿刺によるドレナージ施行後, 症状は改善し, 入院となったが, 入院第4病日, 心電図上V2~5で巨大陰性T波が出現し, 超音波検査で心尖部を中心とした壁運動異常認め, 左室駆出率は32%と低下していた. また心尖部に2cm大の血栓形成を認めた. 緊急冠動脈造影上は有意狭窄認めず, たこつぼ心筋障害に伴う左室内血栓形成と診断し, 抗凝固療法を開始. 第8病日の超音波検査にて壁運動改善と血栓の消失を認めた. その後左室駆出率は60%まで改善した. たこつぼ心筋障害に血栓形成を合併した報告はいまだ少ない. 今回われわれは, 心嚢穿刺後にたこつぼ心筋障害を発症し, 壁運動異常により左室内血栓を形成した1例を経験したので, 文献的考察を加えこれを報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.527