2)重度プラスミノゲン欠損症における凝固線溶反応の変容;血栓溶解における代替的線溶経路の意義(仮説
「はじめに」プラスミノゲンは, 線溶反応の鍵となる酵素プラスミンの前駆体であり, 肝臓で前駆体として合成され, 組織型プラスミノゲンアクチベーターやウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーターによってプラスミンへと活性化されて血管内や組織でのフィブリン血栓溶解に働く(図1)1). また好中球/顆粒球エラスターゼなどで分解されるとアンギオスタチンとして抗腫瘍作用を示す2). その欠損症や分子異常症は, 長らく血栓症の原因の一部と考えられてきており, 過去に数多くの論文が報告されてきたが, 近年の大規模な調査結果からは血栓との関連に否定的な結論が出されている. 「プラスミノゲン分子異常症と欠損症」わ...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2009, Vol.41 (2), p.190-194 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」プラスミノゲンは, 線溶反応の鍵となる酵素プラスミンの前駆体であり, 肝臓で前駆体として合成され, 組織型プラスミノゲンアクチベーターやウロキナーゼ型プラスミノゲンアクチベーターによってプラスミンへと活性化されて血管内や組織でのフィブリン血栓溶解に働く(図1)1). また好中球/顆粒球エラスターゼなどで分解されるとアンギオスタチンとして抗腫瘍作用を示す2). その欠損症や分子異常症は, 長らく血栓症の原因の一部と考えられてきており, 過去に数多くの論文が報告されてきたが, 近年の大規模な調査結果からは血栓との関連に否定的な結論が出されている. 「プラスミノゲン分子異常症と欠損症」われわれは, 前世紀にプラスミノゲンの遺伝子をクローニングして全塩基配列を決定し3), 当時血栓症の原因として重要視されていた分子異常症の解析によって3種類の遺伝子変異を同定した4)5). そのうちAla601ThrとAsp676Asn変異では酵素活性が低下するが(Ooe&Ichinose, Unpublished data), 前者は日本人のみならず韓国人, 中国人にも同じ約5%の頻度で存在する6). |
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ISSN: | 0586-4488 |