抗結核薬とステロイドの併用が著効した結核性心膜炎の1症例

「Abstract」症例は55歳, 男性. 2006年9月上旬から発熱と咳が出現. 倦怠感と労作時息切れも認め近医入院. 心膜液の貯留も認め各種精査を行うも原因疾患不明であり, 精査目的に当院循環器内科に転院. CTにて著明な心膜肥厚と心膜液貯留所見を認め, 心膜生検施行し結核性心膜炎の診断となる. 病理学的には肉芽腫性乾酪化とフィブリンや膠原線維により心膜肥厚をきたす第3期であった. 加療目的に当科(第1内科)転科. 転科当日より抗結核薬4剤併用を開始. 右心カテーテル・心エコーにて心拍出量低下と拡張障害を示唆する所見を認めた. 予後改善と病態進行阻止目的に, 3週目より抗結核薬に加えステロ...

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Veröffentlicht in:心臓 2008-11, Vol.40 (11), p.983-988
Hauptverfasser: 渡辺武史, 神垣光徳, 伊東直史, 横田美紀, 渡辺安寿香, 池田大輔, 坂上慎二, 辻野一三, 徳原教, 岡本洋, 筒井裕之, 西村正治
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「Abstract」症例は55歳, 男性. 2006年9月上旬から発熱と咳が出現. 倦怠感と労作時息切れも認め近医入院. 心膜液の貯留も認め各種精査を行うも原因疾患不明であり, 精査目的に当院循環器内科に転院. CTにて著明な心膜肥厚と心膜液貯留所見を認め, 心膜生検施行し結核性心膜炎の診断となる. 病理学的には肉芽腫性乾酪化とフィブリンや膠原線維により心膜肥厚をきたす第3期であった. 加療目的に当科(第1内科)転科. 転科当日より抗結核薬4剤併用を開始. 右心カテーテル・心エコーにて心拍出量低下と拡張障害を示唆する所見を認めた. 予後改善と病態進行阻止目的に, 3週目より抗結核薬に加えステロイドの併用療法を開始した. ステロイド開始後, 症状改善, 心膜肥厚改善, 心膜液減少を認めた. 発症1年後にも再発を認めていない. 「はじめに」結核性心膜炎は結核患者に合併する割合は5%以下といわれる1)比較的稀な疾患であり, 心膜液中の結核菌陽性率は低く診断が困難な疾患である. 病変が進行すると収縮性心膜炎へ高率に移行するといわれている. 今回われわれは, 結核性心膜炎の症例に対し抗結核薬とステロイド併用療法を行い, 症状改善, 心膜肥厚改善, 心膜液減少を認め, 収縮性心膜炎への移行を防ぐことに成功した. 結核性心膜炎に対し抗結核薬とステロイドの併用が著効した症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488