稲波論文に対するEditorial Comment
稲波論文は, 自己免疫疾患関連冠動脈病変という通常の動脈硬化と異なる炎症性の機序にて発生する冠動脈内膜肥厚に対し, 免疫抑制剤を用いて進展の予防を試み成功にいたった症例の貴重な報告である1). 論文の考察に述べられているように, SLEに関連する冠動脈病変の成立にはさまざまな段階で炎症が関与し, 若年者に発症し進行も早く通常の冠動脈硬化と区別すべきである. これら炎症がさらなる炎症を惹起し内膜肥厚を進展させるという本疾患特有の機序を断ち切るため, 各種免疫抑制剤を保険外適応とはいえ院内倫理委員会の承認のもとで使用し17ヵ月の長期に渡り内膜肥厚を抑制した点は, 今後これらの炎症性冠動脈病変に対す...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2008-03, Vol.40 (3), p.286-287 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 稲波論文は, 自己免疫疾患関連冠動脈病変という通常の動脈硬化と異なる炎症性の機序にて発生する冠動脈内膜肥厚に対し, 免疫抑制剤を用いて進展の予防を試み成功にいたった症例の貴重な報告である1). 論文の考察に述べられているように, SLEに関連する冠動脈病変の成立にはさまざまな段階で炎症が関与し, 若年者に発症し進行も早く通常の冠動脈硬化と区別すべきである. これら炎症がさらなる炎症を惹起し内膜肥厚を進展させるという本疾患特有の機序を断ち切るため, 各種免疫抑制剤を保険外適応とはいえ院内倫理委員会の承認のもとで使用し17ヵ月の長期に渡り内膜肥厚を抑制した点は, 今後これらの炎症性冠動脈病変に対する治療に一石を投じる報告であろう. 炎症が主体の冠動脈内膜肥厚をきたし, その進展が生命予後に大きくかかわる疾患の代表例に, 移植後冠動脈病変がある2). 移植後冠動脈病変は心臓移植後1年を経た患者の死因の第1位ないし第2位として慢性期死因の約20%を占める疾患である. |
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ISSN: | 0586-4488 |