上大静脈起源発作性頻拍の1例

症例は器質的心臓病のない72歳男性で,当科初診より1年前から動悸発作が出現した.12誘導心電図では2:1から4:1の不規則な房室伝導を示す250/分の心房頻拍で心房波は洞調律時と同一極性を示したが,下壁誘導で洞調律時よりも高電位で一見等電位線のない正弦波様であった.頻拍は直流通電で停止したが,ピルジカイニド150mg/日投与下に再発した.電気生理学的検査で270/分の右房高頻度刺激で頻拍が誘発され,頻拍中の右房内electroanatomical mappingでは心房の興奮は高位右房後面より心房中隔を下方に伝播し,全頻拍周期の46%をしめるのみであった.頻拍時に高位右房に先行する微小電位が上...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2007-08, Vol.39 (8), p.722-727
Hauptverfasser: 村田 実, 福永 博, 大平晃司, 千葉義郎, 山下文男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は器質的心臓病のない72歳男性で,当科初診より1年前から動悸発作が出現した.12誘導心電図では2:1から4:1の不規則な房室伝導を示す250/分の心房頻拍で心房波は洞調律時と同一極性を示したが,下壁誘導で洞調律時よりも高電位で一見等電位線のない正弦波様であった.頻拍は直流通電で停止したが,ピルジカイニド150mg/日投与下に再発した.電気生理学的検査で270/分の右房高頻度刺激で頻拍が誘発され,頻拍中の右房内electroanatomical mappingでは心房の興奮は高位右房後面より心房中隔を下方に伝播し,全頻拍周期の46%をしめるのみであった.頻拍時に高位右房に先行する微小電位が上大静脈内に認められ,右房との接合部より頭側に離れるに従い先行度が増し上大静脈と右心房接合部より6cm頭側で高位右房に最大185ms先行し,それより頭側では微小電位は記録できなかった.この最早期部位に対するRF通電で頻拍は徐拍化の後停止し,その後頻拍は誘発不能となった.上大静脈起源の頻拍の報告は極めて少ない.本症例の上大静脈内の起源部位は報告例のなかでも最も頭側に位置し,また頻拍時の12誘導心電図所見も極めて特徴的であった.
ISSN:0586-4488