MDCT検査が有用であった右冠動脈左冠動脈洞起始症の若年女性の1例

症例は前胸部絞扼感を主訴に来院した14歳の女子.その精査目的で施行したトレッドミル運動負荷試験において,いつもと同様の前胸部絞扼感を伴う虚血性ST-T変化を認め,冠動脈疾患を疑われ入院となった.冠動脈および大動脈造影による画像診断で,右冠動脈の起始異常を認めた.解剖学的位置関係の解析のために施行した16MDCT(multidetector row computed tomography)検査では,右冠動脈が左冠動脈洞から急峻な角度で前方へ分岐し,上行大動脈と肺動脈の間を走行していることが判明し,この起始異常または右冠動脈近位部が大血管に挟まれるように走行するため大血管により圧迫されて,今回の狭...

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Veröffentlicht in:心臓 2007-07, Vol.39 (7), p.653-658
Hauptverfasser: 伊原まどか, 岸田 堅, 和田民樹, 中辻秀朗, 中岡 創, 野嶋祐兵, 武田吉弘, 永井義幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は前胸部絞扼感を主訴に来院した14歳の女子.その精査目的で施行したトレッドミル運動負荷試験において,いつもと同様の前胸部絞扼感を伴う虚血性ST-T変化を認め,冠動脈疾患を疑われ入院となった.冠動脈および大動脈造影による画像診断で,右冠動脈の起始異常を認めた.解剖学的位置関係の解析のために施行した16MDCT(multidetector row computed tomography)検査では,右冠動脈が左冠動脈洞から急峻な角度で前方へ分岐し,上行大動脈と肺動脈の間を走行していることが判明し,この起始異常または右冠動脈近位部が大血管に挟まれるように走行するため大血管により圧迫されて,今回の狭心症症状が出現したと判断した.同疾患に対する治療として,狭心症の治療に準じてβ-プロッカーおよびニトロ製剤を投与し,自覚症状は消失し運動負荷検査でも虚血所見を認めず,同治療が有効であると思われた.右冠動脈左冠動脈洞起始症は,以前は比較的予後良好な疾患と考えられていたが,最近,突然死や心筋虚血を起こした報告例が散見され,注意すべき重要な疾患と考えられるので文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488