運動療法の効果とその機序

「はじめに」循環器疾患に対する運動療法の効果は極めて多岐にわたる. 運動と疾病や病態の関係をみると, 「運動しないこと」自体が虚血性心疾患などの動脈硬化性循環器疾患の原因となっており, 逆に循環器疾患のために「運動できないこと」が心不全などの病態形成や, 致死性不整脈の発現に関与して生命予後を悪化させている. 運動療法という治療の作用機転は, この2点に対する介入として, その効果を発揮するのである. 本稿では, 最近明らかにされた「運動」の循環器疾患に対する効果とその機序について概説する. 「冠危険因子と抗動脈硬化作用」1. インスリン感受性に対する効果 運動療法はインスリン非依存性糖尿病や...

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Veröffentlicht in:心臓 2007-03, Vol.39 (3), p.252-259
1. Verfasser: 伊東春樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」循環器疾患に対する運動療法の効果は極めて多岐にわたる. 運動と疾病や病態の関係をみると, 「運動しないこと」自体が虚血性心疾患などの動脈硬化性循環器疾患の原因となっており, 逆に循環器疾患のために「運動できないこと」が心不全などの病態形成や, 致死性不整脈の発現に関与して生命予後を悪化させている. 運動療法という治療の作用機転は, この2点に対する介入として, その効果を発揮するのである. 本稿では, 最近明らかにされた「運動」の循環器疾患に対する効果とその機序について概説する. 「冠危険因子と抗動脈硬化作用」1. インスリン感受性に対する効果 運動療法はインスリン非依存性糖尿病や, 肥満で低下している骨格筋などのインスリン感受性を改善する. これには筋肉量の増加, 筋インスリン受容体数増加, 親和性の改善, レセプターキナーゼ活性亢進などの受容体性因子の関与が考えられ, さらに骨格筋の解糖系, TCA回路の酵素活性, 糖輸送担体の変化などの受容体以降の系も関与するとされている.
ISSN:0586-4488