急性冠症候群と炎症‐炎症をターゲットとした治療戦略
「はじめに」20~30年前, 動脈硬化の成因は血管内腔への脂肪などの単なる蓄積で, その蓄積物が血流を制限, また遮断することが急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)などの冠動脈イベントの原因であると考えられていた. しかし最近では「傷害反応説」1)と「血管炎症説」2)があげられるように, 動脈硬化はマクロファージ, Tリンパ球などの炎症細胞とそれらが産生する炎症性サイトカイン, ケモカインなどの増殖因子がその主役を担う, 「chronic inflammatory disease」として広く認識されてきている. 本項では, 動脈硬化の発症, 進展, 不安定プラ...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2006-11, Vol.38 (11), p.1083-1088 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」20~30年前, 動脈硬化の成因は血管内腔への脂肪などの単なる蓄積で, その蓄積物が血流を制限, また遮断することが急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)などの冠動脈イベントの原因であると考えられていた. しかし最近では「傷害反応説」1)と「血管炎症説」2)があげられるように, 動脈硬化はマクロファージ, Tリンパ球などの炎症細胞とそれらが産生する炎症性サイトカイン, ケモカインなどの増殖因子がその主役を担う, 「chronic inflammatory disease」として広く認識されてきている. 本項では, 動脈硬化の発症, 進展, 不安定プラークの成立, ACSの発症における血管の炎症の役割と, 炎症をターゲットとした治療戦略について述べる. 「動脈硬化の成立とACS発症における血管炎症の役割」[動脈硬化の形成, 進展] 代表的な動脈硬化のトリガーとして, 高脂血症, 喫煙, 高血圧, 高血糖, 肥満などの病態が知られている. 正常な血管では内皮細胞が血管内腔を覆い, 一酸化窒素やsuper oxide dismutaseなどの血管拡張, 抗炎症物質を分泌し血管を保護している3). |
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ISSN: | 0586-4488 |