病態・病理‐動脈硬化病変での炎症と接着分子

「はじめに」急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)とは心血管イベント発症のメカニズムの一つとして1990年代中ごろより提唱された概念である. Fusterらにより心筋梗塞での責任病変が必ずしも狭窄度の高い部位でないことが指摘され, その後, Libbyらによる病理学的検討でそのような責任病変に炎症性細胞の浸潤がみられることが判明した. 従来は, 責任病変での狭窄が徐々に進み, 狭窄度が100%になったときに心血管イベントが発症すると考えられていたが, ACSでは, 狭窄度が低くても炎症性細胞などによってプラークが不安定である場合には破綻が起こって急速に心血管イベ...

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Veröffentlicht in:心臓 2006-11, Vol.38 (11), p.1074-1077
Hauptverfasser: 石井秀人, 吉田雅幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」急性冠症候群(acute coronary syndrome;ACS)とは心血管イベント発症のメカニズムの一つとして1990年代中ごろより提唱された概念である. Fusterらにより心筋梗塞での責任病変が必ずしも狭窄度の高い部位でないことが指摘され, その後, Libbyらによる病理学的検討でそのような責任病変に炎症性細胞の浸潤がみられることが判明した. 従来は, 責任病変での狭窄が徐々に進み, 狭窄度が100%になったときに心血管イベントが発症すると考えられていたが, ACSでは, 狭窄度が低くても炎症性細胞などによってプラークが不安定である場合には破綻が起こって急速に心血管イベントが発症する. このため, 冠動脈造影(coronary angiography;CAG)を行っても心血管イベントの発症予測は困難であり, 経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention;PCI)では, 有意狭窄病変を改善し虚血を正常化することができてもACS発症を抑制することはできない. したがって, ACS発症につながる不安定プラークを臨床的にはどのように診断し, 治療していくのかが課題になる.
ISSN:0586-4488