静脈血栓塞栓症にて発症し, 下大静脈フィルター直下の難治性大量血栓を血管内インターベンションにて治療し得た先天性アンチトロンビン欠損症の1例

症例は53歳, 女性. 左下肢腫脹, 疼痛を主訴に当院に入院した. 臨床症状と画像診断より深部静脈血栓症(DVT)および肺動脈血栓塞栓症(PTE)の所見を得た. また血中アンチトロンビン(AT)活性ならびに抗原量も低値であり, 先天性AT欠損症と診断した. 血栓溶解療法, 抗凝固療法を施行し, PTEに対し経カテーテル的血栓吸引破砕術, 永久型下大静脈(IVC)フィルター挿入術を施行した. 約1週間後より右下肢の腫脹, 疼痛, 熱感が出現したため骨盤造影CTおよび下肢静脈造影施行したところ, IVCフィルター直下に大量血栓が付着し完全閉塞が認められた. ウロキナーゼの全身投与は奏効せず, 頻回...

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Veröffentlicht in:心臓 2006-08, Vol.38 (8), p.796-803
Hauptverfasser: 宮地秀樹, 雪吹周生, 加藤浩司, 吉田博史, 石井健輔, 小谷英太郎, 草間芳樹, 新博次, 圷宏一, 山本剛, 田中啓治, 田島廣之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は53歳, 女性. 左下肢腫脹, 疼痛を主訴に当院に入院した. 臨床症状と画像診断より深部静脈血栓症(DVT)および肺動脈血栓塞栓症(PTE)の所見を得た. また血中アンチトロンビン(AT)活性ならびに抗原量も低値であり, 先天性AT欠損症と診断した. 血栓溶解療法, 抗凝固療法を施行し, PTEに対し経カテーテル的血栓吸引破砕術, 永久型下大静脈(IVC)フィルター挿入術を施行した. 約1週間後より右下肢の腫脹, 疼痛, 熱感が出現したため骨盤造影CTおよび下肢静脈造影施行したところ, IVCフィルター直下に大量血栓が付着し完全閉塞が認められた. ウロキナーゼの全身投与は奏効せず, 頻回のカテーテル手技により再開通した. その後抗凝固療法を継続し退院した. 退院後の経過も良好である. 本症例のごとく血栓溶解療法, 抗凝固療法にもかかわらずIVCフィルター直下に大量血栓が付着したというAT欠損症の報告例は稀有であるが, われわれはこれに対し積極的なカテーテル治療手技を行い著効を示したためここに報告する.
ISSN:0586-4488