1. 虚血性心疾患成り立ちの性差(病理の立場から)
「はじめに」多くの疾患には性差が存在し, 虚血性心疾患は男性に高頻度に発症することが報告されている. 女性でも閉経後は加齢とともに虚血性心疾患の発症率が増加することが知られているが, 動脈硬化性プラークの病理像における性差の存在に関してはいまだ明らかではない. 本稿では, 虚血性心疾患成り立ちの性差について病理の立場から述べるとともに, われわれの研究成果も混じえながら, 虚血性心疾患の本態である冠動脈硬化の成因やメカニズムについて述べたい. 冠動脈病変の男女差について 正常心臓の大きさは成人男性で両心房, 両心室, 大動脈および肺動脈の起始部を含めて約350gで女性は約320gである. また...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2006, Vol.38 (3), p.220-224 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」多くの疾患には性差が存在し, 虚血性心疾患は男性に高頻度に発症することが報告されている. 女性でも閉経後は加齢とともに虚血性心疾患の発症率が増加することが知られているが, 動脈硬化性プラークの病理像における性差の存在に関してはいまだ明らかではない. 本稿では, 虚血性心疾患成り立ちの性差について病理の立場から述べるとともに, われわれの研究成果も混じえながら, 虚血性心疾患の本態である冠動脈硬化の成因やメカニズムについて述べたい. 冠動脈病変の男女差について 正常心臓の大きさは成人男性で両心房, 両心室, 大動脈および肺動脈の起始部を含めて約350gで女性は約320gである. また女性は一般的に男性に比べて体格が小さく冠動脈径が細い1). このように体形の違いが男女間にはあるが, 冠動脈病変に関しては男女差はあるだろうか? この点に関してはKornowskiらが検討している2). 彼らは血管内超音波を用いて冠動脈インターベンション前に冠動脈の病変部位とそれに近接する部位の形態像を解析して, 冠動脈病変に男女差があるか否かを後ろ向きに検討し, 血管径は女性では小であったが, 内膜肥厚の比率においては男女差はなく, 冠動脈病変に男女差は認められなかったと報告している. |
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ISSN: | 0586-4488 |