右冠動脈右心房瘻孔に対し血管内超音波ガイド下経カテーテル閉鎖術が成功した1例

開心術は, 心臓弁膜症をはじめとしたさまざまな心疾患にしばしば安全に行われているが, 再手術を必要とした場合は, 胸膜の癒着により多くの臓器を損傷しやすい状態にあるため, 手術のリスクが高くなる. 本症例は, 大動脈閉鎖不全症および冠動脈の狭窄に対し大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が施行されたが, その約2年半後に狭心症発作が出現した. 検査の結果, 左主幹部を含め冠動脈およびグラフトに動脈硬化の進展を認めたため, 再冠動脈バイパス手術が施行された. しかし, 開胸時に胸膜の癒着が強く右心房および大血管を損傷し修復手術が追加施行された. 術後, 全身状態が不安定であり他院で入院生活を行って...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2006-02, Vol.38 (2), p.122-128
Hauptverfasser: 岸田堅, 角辻暁, 正井崇史, 中岡創, 宮脇盛子, 林紀行, 野嶋祐兵, 藤村博信, 笹子佳門, 永井義幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:開心術は, 心臓弁膜症をはじめとしたさまざまな心疾患にしばしば安全に行われているが, 再手術を必要とした場合は, 胸膜の癒着により多くの臓器を損傷しやすい状態にあるため, 手術のリスクが高くなる. 本症例は, 大動脈閉鎖不全症および冠動脈の狭窄に対し大動脈弁置換術および冠動脈バイパス術が施行されたが, その約2年半後に狭心症発作が出現した. 検査の結果, 左主幹部を含め冠動脈およびグラフトに動脈硬化の進展を認めたため, 再冠動脈バイパス手術が施行された. しかし, 開胸時に胸膜の癒着が強く右心房および大血管を損傷し修復手術が追加施行された. 術後, 全身状態が不安定であり他院で入院生活を行っていたが, 2回目の再手術より15ヵ月目に狭心症症状が再発した. 経胸壁心臓超音波検査では高度の三尖弁逆流を伴う右心系負荷所見を認めた. 心臓カテーテル検査では, 右冠動脈造影により右房への造影剤の流入を認め, 左右シャント率も1.06と軽度上昇していた. これらの結果より, 右冠動脈と右心房間の交通があると判断し, その瘻孔に対し血管内超音波ガイド下にカバードステントを用いた経皮経カテーテル閉鎖術を施行した. 以後, 三尖弁逆流の軽減とともに右心負荷所見は改善した. しかし, 以前より全身状態が悪く, 瘻孔閉鎖術後28日目に敗血性ショックにより死亡した. 今回, 心臓再手術時に二次的に形成された右冠動脈右心房瘻孔による右心不全に対し, 経カテーテル瘻孔閉鎖術が右心不全軽減に有効と思われたので報告する.
ISSN:0586-4488