院外心原性心停止に対し心肺蘇生,緊急冠インターベンション術および脳低体温療法を併用し社会復帰し得た急性冠症候群の1例

院外心停止患者は年々増加傾向にあり, その半数以上は心原性院外心停止患者である. 同患者に対し早期に適切な対応がなされなければ, 心拍再開したにもかかわらず脳虚血により脳障害を来し, 神経学的転帰が不良な状態に陥る. 最近, 脳虚血細胞死に対する脳保護目的として脳低体温療法が注目され, 全国の多施設で施行されつつあるが, いまだ治療方針が確立されていないのが現状で, それら対象患者の集約的な検討が必要と考えられる. 本症例は, 心疾患を有する63歳男性で, 仕事中に倒れていたのを発見され, その13分後の救急隊到着まで心肺蘇生が行われていなかった. 到着時の心電図で心室細動を示しており, 救急...

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Veröffentlicht in:心臓 2006-01, Vol.38 (1), p.38-44
Hauptverfasser: 岸田 堅, 宮脇盛子, 中岡 創, 林 紀行, 中谷暁洋, 北村愛子, 野嶋祐兵, 角辻 暁, 永井義幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:院外心停止患者は年々増加傾向にあり, その半数以上は心原性院外心停止患者である. 同患者に対し早期に適切な対応がなされなければ, 心拍再開したにもかかわらず脳虚血により脳障害を来し, 神経学的転帰が不良な状態に陥る. 最近, 脳虚血細胞死に対する脳保護目的として脳低体温療法が注目され, 全国の多施設で施行されつつあるが, いまだ治療方針が確立されていないのが現状で, それら対象患者の集約的な検討が必要と考えられる. 本症例は, 心疾患を有する63歳男性で, 仕事中に倒れていたのを発見され, その13分後の救急隊到着まで心肺蘇生が行われていなかった. 到着時の心電図で心室細動を示しており, 救急隊による電気的除細動で発見23分後に心拍再開した. 心拍再開後の諸検査により, 急性冠症候群を疑い当院で緊急冠動脈カテーテル検査を施行した. 同検査により, 以前治療された左前下行枝遠位部が完全閉塞を確認し, 経皮的冠動脈形成術による血行再建術にて良好な結果を得て終了した. 同時に脳低体温療法を併用し徐々に意識レベルの改善を認め, 第22病日に神経学的後遺症も残さず退院となった. 本症例は, 目撃者もなく社会復帰を遂げることが極めて低い症例であるが, 心原性院外心停止に対する心肺蘇生法により心拍再開し, 緊急インターベンション治療で循環動態の安定化を行い, さらに脳低体温療法を併用することで脳保護が行われ社会復帰を果たした貴重な1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488