骨髄間葉系幹細胞を用いた心筋血管再生治療
昨今の医療技術の進歩に伴い, 傷害を受けた組織や臓器の治療方法として幹細胞を用いた再生療法の応用が期待されるようになった. 間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells:MSCs)は自己複製能と多分化能を有する細胞であり, 体性幹細胞の一つとして分類され, 成体組織においては骨髄問質や真皮, 骨格筋, 脂肪組織などに存在する. 組織の修復や恒常性の維持, 造血幹細胞の増殖や分化の制御に機能するだけでなく, 骨, 軟骨, 骨格筋, 脂肪, 靭帯などに分化し得るが, 近年, 血管内皮, 平滑筋, 心筋にも分化することが確認された1)~3). MSCsは骨髄中に存在することより採取が比...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2005-12, Vol.37 (12), p.1006-1010 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 昨今の医療技術の進歩に伴い, 傷害を受けた組織や臓器の治療方法として幹細胞を用いた再生療法の応用が期待されるようになった. 間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells:MSCs)は自己複製能と多分化能を有する細胞であり, 体性幹細胞の一つとして分類され, 成体組織においては骨髄問質や真皮, 骨格筋, 脂肪組織などに存在する. 組織の修復や恒常性の維持, 造血幹細胞の増殖や分化の制御に機能するだけでなく, 骨, 軟骨, 骨格筋, 脂肪, 靭帯などに分化し得るが, 近年, 血管内皮, 平滑筋, 心筋にも分化することが確認された1)~3). MSCsは骨髄中に存在することより採取が比較的容易であり, また増殖能力が高いことから生体外でも大量に培養することが可能である. また, 自己細胞を用いて移植を行うため, 拒否反応を避けることができ, 倫理的な問題が生じる余地も限られる. すなわち, 患者の骨髄より分離したMSCsを培養し, 必要な数に増殖させた後に患部へ移植するという治療が可能である. 本稿ではMSCs移植による心筋血管再生の基礎研究から臨床応用まで, いわゆるMSCs移植のトランスレーショナルリサーチについて, われわれの最近の知見を中心に述べる. |
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ISSN: | 0586-4488 |