心房中隔欠損症と心房細動

心房中隔欠損症(ASD)は最も多い先天性心疾患の一つであり, 術前, 術後のいずれにおいても心房細動が最も高頻度でみられる不整脈とされる. ASDの自然歴についてみると, 過去の集計からは50歳までに3/4が死亡するとされた. しかし, 今日では, より積極的に外科的治療が適切な時期に施行され, ASD術後の予後は良好であることが示されている. 過去5年間に経験したASD症例をみると, 慢性心房細動であるものは, 心エコー検査で測定した肺体血流比(Qp/Qs)は洞調律を維持している症例と比し高値を示している. 一方, 著明な右房拡大を呈しているにもかかわらず洞調律を維持している高齢者が存在する...

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Veröffentlicht in:心臓 2004-12, Vol.36 (12), p.813-820
Hauptverfasser: 新博次, 與田小百合, 田寺長, 小林義典, 堀江格
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心房中隔欠損症(ASD)は最も多い先天性心疾患の一つであり, 術前, 術後のいずれにおいても心房細動が最も高頻度でみられる不整脈とされる. ASDの自然歴についてみると, 過去の集計からは50歳までに3/4が死亡するとされた. しかし, 今日では, より積極的に外科的治療が適切な時期に施行され, ASD術後の予後は良好であることが示されている. 過去5年間に経験したASD症例をみると, 慢性心房細動であるものは, 心エコー検査で測定した肺体血流比(Qp/Qs)は洞調律を維持している症例と比し高値を示している. 一方, 著明な右房拡大を呈しているにもかかわらず洞調律を維持している高齢者が存在する. 心房細動発症に最も関係する要因としては, やはり心房容量負荷, 拡大が最も考慮すべき要因となると推測される. ASD閉鎖後に出現する心房細動については, 既に進行したリモデリングによる不応期の不均一性の存在が寄与しているとみなされるが, 右房切開による手術瘢痕部に関連してマクロリエントリー心房頻拍が発症する. このマクロリエントリー心房頻拍はカテーテルアブレーションのよい適応である. ASD症例で術前, 術後の経過を含め, 心房細動, 粗動を発症させないためには早期の閉鎖術施行により, 心房ならびに肺循環系のリモデリングを未然に防止することが薦められる.
ISSN:0586-4488