虚血性心疾患への新しいstrategy-遺伝子治療の試み

虚血性心疾患の治療は, 薬物療法や血行再建術の進歩によって劇的に進歩した. β遮断薬やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬), ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)などの積極的な薬物療法による予後改善効果が確認され, 血行再建術後の最大の問題点であった再狭窄もpaclitaxelやsirolimsなどの薬剤ステントの出現で劇的に軽減した. それにもかかわらず, これらの疾患は減少するどころかむしろ増加傾向にある. その背景には, 近年の生活習慣や食生活の変化により動脈硬化の危険因子である肥満, 高脂血症, 耐糖能異常などの代謝性疾患が増加していることが挙げられる. また, 増え続ける...

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Veröffentlicht in:心臓 2004, Vol.36 (4), p.269-274
Hauptverfasser: 牧野寛史, 荻原俊男, 森下竜一, 金田安史
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:虚血性心疾患の治療は, 薬物療法や血行再建術の進歩によって劇的に進歩した. β遮断薬やACEI(アンジオテンシン変換酵素阻害薬), ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)などの積極的な薬物療法による予後改善効果が確認され, 血行再建術後の最大の問題点であった再狭窄もpaclitaxelやsirolimsなどの薬剤ステントの出現で劇的に軽減した. それにもかかわらず, これらの疾患は減少するどころかむしろ増加傾向にある. その背景には, 近年の生活習慣や食生活の変化により動脈硬化の危険因子である肥満, 高脂血症, 耐糖能異常などの代謝性疾患が増加していることが挙げられる. また, 増え続ける虚血性疾患に対してその治療法も進歩し救命率が向上したが, その結果高齢かつ複雑な重症例が増加した. 著しい心機能障害を伴う症例では心臓移植が有効な治療法であるが, 移植適応条件の制限やドナー不足という問題があり一般的な治療ではない. 結果として, 現状の内科, 外科治療での症状改善を見込めない患者では, 多くの症例が保存的治療で推移し, QOLが障害されている. これらの症例に対して従来の治療戦略とは一線を画した新たな非侵襲的な治療法の開発が望まれてきた. 近年, これらの虚血性疾患に対する遺伝子治療の可能性が注目されており, 効果が確認されつつある.
ISSN:0586-4488