低心機能に心房細動を合併した症例に対する当科での治療

1999年1月から2003年9月の間に当科に入院した2,745例中, 低心機能に心房細動を合併した症例を軽中等症群(左室駆出率40-59%:117例)と重症群(左室駆出率39%以下:59例)に分けて, 入院目的, 心不全治療薬(ACE阻害薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬β遮断薬ジギタリス等)投与率, 心房細動のタイプ(発作性慢性), リズムコントロールあるいはレートコントロールの選択, 抗不整脈薬の有無と種類, 非薬物療法の併用, 抗凝固療法, 予後などの項目について検討した. 低心機能で心房細動を併発した症例は, 全入院患者の6%であつた. 心房細動の治療目的での入院は, 比較的少なく10...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 2004-03, Vol.36 (3), p.244-248
Hauptverfasser: 沢映良, 清水昭彦, 江里正弘, 上山剛, 金本将司, 亀谷良介, 井上宣子, 松崎益徳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:1999年1月から2003年9月の間に当科に入院した2,745例中, 低心機能に心房細動を合併した症例を軽中等症群(左室駆出率40-59%:117例)と重症群(左室駆出率39%以下:59例)に分けて, 入院目的, 心不全治療薬(ACE阻害薬アンジオテンシンII受容体拮抗薬β遮断薬ジギタリス等)投与率, 心房細動のタイプ(発作性慢性), リズムコントロールあるいはレートコントロールの選択, 抗不整脈薬の有無と種類, 非薬物療法の併用, 抗凝固療法, 予後などの項目について検討した. 低心機能で心房細動を併発した症例は, 全入院患者の6%であつた. 心房細動の治療目的での入院は, 比較的少なく10%以下であった. 低心機能と心房細動の併発例では, 特に慢性心房細動の多くでレートコントロールの治療が選択されており, 薬剤としてはβ遮断薬やジギタリスが使用されていた. またβ遮断薬としては近年ではカルベジロールが多数選択されるようになっていた. リズムコントロールを選択した症例では重症群にて有意にIII群抗不整脈薬の使用頻度が上昇していた. 重症例のレートコントロール困難例では非薬物療法(房室ブロック作成と両心室ペーシング)が選択されていた. 抗凝固療法は両群とも慢性例を中心に高率に行われていた. 予後の面では重症群が有意に死亡率脳梗塞発症率が高く, 重症群の脳梗塞予防が今後とも大きな課題と考えられた.
ISSN:0586-4488