外科的治療により狭心痛が消失した両側冠動脈肺動脈瘻の1例

先天性冠動脈瘻の報告は選択的冠動脈造影の普及とともに増加し, その頻度は冠動脈造影施行例の1%前後といわれている. 今回我々は, 頻脈時に冠動脈の盗血現象によると思われる心電図変化をきたした先天性両側冠動脈肺動脈瘻の1例を経験し, 外科的治療が奏効したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は60歳女性. 平成12年より高血圧で外来通院中であつたが, 平成13年2月23日動悸出現, 同時に前胸部不快感も出現, 救急外来受診. 心電図でII, III, aVFおよびV4~6のST下降を認め, 狭心症を疑われ入院. 運動負荷thallium-201心筋シンチグラフィーで心電図変化を伴った, 下壁...

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Veröffentlicht in:心臓 2003-09, Vol.35 (9), p.633-638
Hauptverfasser: 西原昌宏, 田中希尚, 林義人, 大友透, 山岸優雅, 西宮孝敏, 青木秀俊, 大場淳一, 瀧上剛, 若松豊, 佐藤浩之, 小山信
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:先天性冠動脈瘻の報告は選択的冠動脈造影の普及とともに増加し, その頻度は冠動脈造影施行例の1%前後といわれている. 今回我々は, 頻脈時に冠動脈の盗血現象によると思われる心電図変化をきたした先天性両側冠動脈肺動脈瘻の1例を経験し, 外科的治療が奏効したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は60歳女性. 平成12年より高血圧で外来通院中であつたが, 平成13年2月23日動悸出現, 同時に前胸部不快感も出現, 救急外来受診. 心電図でII, III, aVFおよびV4~6のST下降を認め, 狭心症を疑われ入院. 運動負荷thallium-201心筋シンチグラフィーで心電図変化を伴った, 下壁から心尖部, 前壁中隔にかけての再分布像を認めた. 冠動脈造影では冠動脈に有意狭窄はなく, 左右冠動脈から流出する両側冠動脈肺動脈瘻が確認された. 入院時に認めた心筋虚血所見は冠動脈肺動脈瘻による盗血現象によるものと考え, 手術適応と判断した. 外科的に瘻血管入口部の閉鎖, 瘻血管の結紮を行った. 術後の運動負荷thallium-201心筋シンチグラフィーで心電図変化, スペクト上の再分布像は消失した. 外科的治療が極めて有効であつた両側冠動脈肺動脈瘻の1例を経験した.
ISSN:0586-4488