左冠動脈主幹部を含む重症三枝病変を合併し,冠動脈バイパス術を施行した血友病Aの1例
症例は65歳男性. 60歳時, 抜歯後に止血困難であったことから近医を受診. PT正常, APTT軽度延長, 血液凝固第VIII因子活性18%と低下, 第VIII因子インヒビター陰1生, von Willebrand factor正常であったことから, 軽症型の血友病Aと診断された. この時, 高脂血症糖尿病を指摘されるも放置していた. 1999年1月頃より歩行時の息切れを自覚, 徐々に増悪を認め, 労作性狭心症の疑いにて当院に入院. 廊下歩行時に同様の息切れが出現し, 心電図上IaVLIIaVFV2~6と広範囲のST低下および血圧低下を認めた. 血液凝固第VIII因子製剤投与下に冠動脈造影検...
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Veröffentlicht in: | 心臓 2001-08, Vol.33 (8), p.653-658 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 症例は65歳男性. 60歳時, 抜歯後に止血困難であったことから近医を受診. PT正常, APTT軽度延長, 血液凝固第VIII因子活性18%と低下, 第VIII因子インヒビター陰1生, von Willebrand factor正常であったことから, 軽症型の血友病Aと診断された. この時, 高脂血症糖尿病を指摘されるも放置していた. 1999年1月頃より歩行時の息切れを自覚, 徐々に増悪を認め, 労作性狭心症の疑いにて当院に入院. 廊下歩行時に同様の息切れが出現し, 心電図上IaVLIIaVFV2~6と広範囲のST低下および血圧低下を認めた. 血液凝固第VIII因子製剤投与下に冠動脈造影検査を施行, 左主幹部90%狭窄病変を含む重症三枝病変と診断, 冠動脈バイパス術を施行した. これまで, 血友病Aにおいてはその凝固機能低下, 出血傾向から動脈硬化性病変の合併は少ないと推察されてきた. 本症例は第VIII因子活性が比較的保たれる軽症型であったことに加え, 高脂血症, 糖尿病といった冠危険因子を有していたことが, 冠動脈疾患発症に関与したと推察された. 本邦においてこのような症例の報告は少なく, 示唆に富む症例と考えられたので, 文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 |