心不全と神経体液因子
心不全症例におけるANP, BNPの心臓の大動脈基部(AO), 冠状静脈洞(CS), 前室間静脈(AIV)の濃度は, 心不全の病態と血行動態や心機能との関係を示唆する. また, ANP, BNPの代謝の検討から, BNPは心臓での分泌を末梢に反映し, 慢性心不全, 急性心筋梗塞の重症度, 予後, 治療の指標となることが示される. これらのNa利尿ペプチドとレニン-アンジオテンシン系の間には種々の拮抗作用がみられる. Na利尿ペプチドはACE阻害薬やAT-I受容体阻害薬と同様な作用を有すると考えられ, 同系統の薬剤と考えることが可能である. 心不全はレニン-アンジオテンシン系, 交感神経系, エ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 心臓 2001, Vol.33 (1), p.84-88 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 心不全症例におけるANP, BNPの心臓の大動脈基部(AO), 冠状静脈洞(CS), 前室間静脈(AIV)の濃度は, 心不全の病態と血行動態や心機能との関係を示唆する. また, ANP, BNPの代謝の検討から, BNPは心臓での分泌を末梢に反映し, 慢性心不全, 急性心筋梗塞の重症度, 予後, 治療の指標となることが示される. これらのNa利尿ペプチドとレニン-アンジオテンシン系の間には種々の拮抗作用がみられる. Na利尿ペプチドはACE阻害薬やAT-I受容体阻害薬と同様な作用を有すると考えられ, 同系統の薬剤と考えることが可能である. 心不全はレニン-アンジオテンシン系, 交感神経系, エンドセリン系の活性により進行性の疾患あり, ANP, BNPはこれらに対し抑制的に作用するが, その分泌は十分ではない. ANP, BNPの外部からの補充が心不全の進展抑制に必要と考える. 心臓疾患により心筋負荷がかかると神経体液因子が活性化され, 特にレニン-アンジオテンシン系, 交感神経系を中心とする因子の活性化がみられる. これらの活性化は急性期には心臓のポンプ機能保持に必要な代償機能の役割を果たすが, 神経体液因子の活性が継続すると心臓負荷を生じて心不全の発症に至る. |
---|---|
ISSN: | 0586-4488 |