心筋におけるgap junction領域の立体構築

心筋組織において, 電気的結合部位を示すgap junctionは主に心筋細胞の介在板に分布している. 透過電子顕微鏡下で, gap junctionは介在板のジグザグ走行をなす横走部では小型, 縦走部では大型である. 心筋組織のNaOH/超音波処理は心筋細胞の側面を取り囲む結合組織の消化と介在板を解離させ, 介在板を走査電子顕微鏡下で三次元的に観察することを可能にした. 介在板は階段状をなし, ステップとライザーからなる. ステップは横走部に相当し, 小さな指状突起を多数有する. ライザーは縦走部に相当し, 平滑であり, 大型のgap junctionが存在する部位である. 介在板の立体構築...

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Veröffentlicht in:心臓 2000-03, Vol.32 (3), p.226-232
Hauptverfasser: 島田達生, 甲斐砂織, 張雷, 葉玉哲生, 藤倉義久
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:心筋組織において, 電気的結合部位を示すgap junctionは主に心筋細胞の介在板に分布している. 透過電子顕微鏡下で, gap junctionは介在板のジグザグ走行をなす横走部では小型, 縦走部では大型である. 心筋組織のNaOH/超音波処理は心筋細胞の側面を取り囲む結合組織の消化と介在板を解離させ, 介在板を走査電子顕微鏡下で三次元的に観察することを可能にした. 介在板は階段状をなし, ステップとライザーからなる. ステップは横走部に相当し, 小さな指状突起を多数有する. ライザーは縦走部に相当し, 平滑であり, 大型のgap junctionが存在する部位である. 介在板の立体構築は心臓の各領域にある心筋細胞の分枝の様相によって異なり, 基本的に3つのタイプに区別される. I型は細胞両端の本幹に大型介在板が存在し, 心房筋と心外膜側の心室筋にみられる. ステップの数は心房筋では1~2段, 右心室筋では8~10段, 左心室筋では25~30段. II型は細胞両端の分枝に中等度大の介在板があり, 心室筋の心外膜側にみられる. ステップの数は, 7~8段である. III型は細胞の末端分枝に中等度大の介在板と細胞側面に小型のものが存在する. 心室壁の中層や心内膜側にみられる. より大きな介在板は6~8段のステップをもち, 小型のものは2~3段である. ステップの数はライザーの数と相関があり, ステップが多いほどgap junction領域が広いことを意味している.
ISSN:0586-4488