異型狭心症を合併した右心室原発血管腫の1例

症例は50歳, 男性. 安静時胸痛を主訴に他院へ入院. 心エコーで右室腔内腫瘤像を指摘されたため, 胸痛ならびに心室内腫瘤精査目的で当院に転院した. 入院時所見では, 心電図上, aVL, V1~5で陰性T波を認めた以外心雑音を聴取せず, 胸部X線像で心拡大なく, 肺うっ血像もない. この右室内腫瘤はCT, MRIでも右心室内自由壁側に腫瘤像を認め, また, 心臓カテーテル検査では右冠動脈から栄養血管がみられた. 体外循環下に腫瘍摘出術を施行した. 腫瘍は右室内三尖弁にあり, 右室自由壁の肉柱と後尖の腱索の一部に付着していた. 摘出腫瘍の大きさは3cm×4cm, 被膜のある球形で, 病理組織学...

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Veröffentlicht in:心臓 2000-03, Vol.32 (3), p.217-223
Hauptverfasser: 全田直子, 宮本憲雄, 鈴木孝雄, 中山雅裕, 橋本通, 佐藤督忠, 浅野冬樹, 佐藤真紀子, 井出肇, 清水寛, 笠間正文, 江波戸文賢, 東祐圭, 堤健, 長田洋文, 嶽山陽一, 飛騨康則, 大蔵俊彦, 鈴木和浩, 田中弘之, 堀豪一, 光谷俊幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は50歳, 男性. 安静時胸痛を主訴に他院へ入院. 心エコーで右室腔内腫瘤像を指摘されたため, 胸痛ならびに心室内腫瘤精査目的で当院に転院した. 入院時所見では, 心電図上, aVL, V1~5で陰性T波を認めた以外心雑音を聴取せず, 胸部X線像で心拡大なく, 肺うっ血像もない. この右室内腫瘤はCT, MRIでも右心室内自由壁側に腫瘤像を認め, また, 心臓カテーテル検査では右冠動脈から栄養血管がみられた. 体外循環下に腫瘍摘出術を施行した. 腫瘍は右室内三尖弁にあり, 右室自由壁の肉柱と後尖の腱索の一部に付着していた. 摘出腫瘍の大きさは3cm×4cm, 被膜のある球形で, 病理組織学的検査で海綿状血管腫と診断した. 術後第3病日, 早朝安静時に心電図上胸部誘導でST上昇を伴う胸痛が出現し, 硝酸薬の舌下投与で改善した. 異型狭心症と考え冠動脈造影を施行したところ, 左前下行枝seg. 8に75%狭窄を認め, アセチルコリン負荷により, 左前下行枝中間部(seg. 8)でスパズムによる完全閉塞が誘発された. 心臓腫瘍の中でも比較的まれな血管腫に異型狭心症を合併した症例は極めてまれと思われ報告する.
ISSN:0586-4488