右室内球状血栓を認めた催不整脈性右室異形成症(ARVD)の1例

症例は19歳の男性. 心電図異常と意識消失発作を主訴に1996年6月25日来院. 心胸郭比53%, 心電図上II, V_4~6) においてST上昇, ホルター心電図にて左脚ブロック型心室頻拍(VT)を認め, 遅延電位は陽性であった. 心エコー, 心筋シンチ, MRI, CT, 心カテーテル検査にて右房, 右室の著明な拡大, び漫性の壁運動低下を認めた. 電気生理学的検査にてVTの誘発はみられなかったが, 心筋生検にて線維化, 脂肪浸潤を認め, ARVDと診断した. 退院後アプリンジン40mgにて外来経過観察していたが, 1年4ヵ月後心エコー上心尖部の壁運動異常は以前に比し増悪し, 同部位に径2...

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Veröffentlicht in:心臓 1999-12, Vol.31 (12), p.827-832
Hauptverfasser: 中治美有紀, 大西祥男, 岡嶋克則, 足立和正, 黒田奈己, 武居明日美, 山城荒平, 高岡秀幸, 原田尚, 大久保英明, 谷口隆弘, 横山光宏
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は19歳の男性. 心電図異常と意識消失発作を主訴に1996年6月25日来院. 心胸郭比53%, 心電図上II, V_4~6) においてST上昇, ホルター心電図にて左脚ブロック型心室頻拍(VT)を認め, 遅延電位は陽性であった. 心エコー, 心筋シンチ, MRI, CT, 心カテーテル検査にて右房, 右室の著明な拡大, び漫性の壁運動低下を認めた. 電気生理学的検査にてVTの誘発はみられなかったが, 心筋生検にて線維化, 脂肪浸潤を認め, ARVDと診断した. 退院後アプリンジン40mgにて外来経過観察していたが, 1年4ヵ月後心エコー上心尖部の壁運動異常は以前に比し増悪し, 同部位に径2.1×2.0cmの新鮮な球状血栓を認めたため1998年1月8日入院した. 肺換気血流シンチで異常はなかった. 入院後ワーファリンによる抗凝固療法を開始し, 1ヵ月半後には血栓の消失を認めた. ARVDに伴う血栓症の報告は極めてまれであり, 心エコーおよび他の画像診断により右心室壁運動の評価も含めた慎重な経過観察が重要と考えられた.
ISSN:0586-4488