冠動脈左室瘻を合併した急性下壁心筋梗塞の1例

症例は68歳の男性であり, 急性心筋梗塞を発症して当科に入院した. 緊急冠動脈造影所見は, 右冠動脈(RCA)に100%の閉塞と左前下行枝(LAD)に90%の狭窄に加え, 左冠動脈第1対角枝(D1)および左回旋枝(LCx)から起始して左心室腔内に流出する異常血管の存在を示した. この冠灌流異常は, LADにコントラスト剤を注入して施行した経食道心エコー図(TEE)でも確認された. また, この左室への流入血管の存在は, 右冠動脈病変に対するPTCAで再疎通した後に施行した冠動脈造影所見より, RCAの末梢とも交通していることが明らかにされた. 冠動脈心室瘻は, 比較的まれな冠動脈奇形であり,...

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Veröffentlicht in:心臓 1999-09, Vol.31 (9), p.651-655
Hauptverfasser: 中川陽子, 藤本眞一, 上村史朗, 川本篤彦, 中嶋美鐘, 水野麗子, 土肥直文, 橋本俊雄, 中野博, 土肥和紘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は68歳の男性であり, 急性心筋梗塞を発症して当科に入院した. 緊急冠動脈造影所見は, 右冠動脈(RCA)に100%の閉塞と左前下行枝(LAD)に90%の狭窄に加え, 左冠動脈第1対角枝(D1)および左回旋枝(LCx)から起始して左心室腔内に流出する異常血管の存在を示した. この冠灌流異常は, LADにコントラスト剤を注入して施行した経食道心エコー図(TEE)でも確認された. また, この左室への流入血管の存在は, 右冠動脈病変に対するPTCAで再疎通した後に施行した冠動脈造影所見より, RCAの末梢とも交通していることが明らかにされた. 冠動脈心室瘻は, 比較的まれな冠動脈奇形であり, 心臓カテーテル症例の約0.2%に認められるにすぎない. さらに, 両側冠動脈から起始して左室に交通する症例の報告は少ない. 本例の左右冠動脈左室瘻は急性心筋梗塞の発症と関連した新生血管と心筋内血管網との交通によるものと推測された.
ISSN:0586-4488