左右冠状動脈起始部に動脈瘤を伴った成人陳旧性下壁梗塞の1例

症例は61歳男性で, 主訴は心電図異常. 既往に胸痛, 高熱, および皮疹を認めない. 陳旧性下壁梗塞として精査目的の入院をした. 冠状動脈造影で左右冠状動脈起始部に石灰化を伴った球状の動脈瘤を認めた. 右冠状動脈入口部に90%狭窄があり, 瘤内腔は造影されなかった. 左冠状動脈瘤は主幹部から前下行枝と回旋枝にまたがる位置にあり, 瘤内腔は造影され, 左主幹部に90%狭窄を認めた. 冠危険因子に乏しく, 冠状動脈造影からみた形態上は動脈瘤および冠状動脈狭窄の成因として血管炎が考えられた. 左室前壁と心尖部にviabilityを認めたため, 冠状動脈バイパス術を施行した. 成人の冠状動脈瘤のうち...

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Veröffentlicht in:心臓 1999-09, Vol.31 (9), p.646-650
Hauptverfasser: 照井元, 金子兼喜, 土佐慎也, 川副浩平
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は61歳男性で, 主訴は心電図異常. 既往に胸痛, 高熱, および皮疹を認めない. 陳旧性下壁梗塞として精査目的の入院をした. 冠状動脈造影で左右冠状動脈起始部に石灰化を伴った球状の動脈瘤を認めた. 右冠状動脈入口部に90%狭窄があり, 瘤内腔は造影されなかった. 左冠状動脈瘤は主幹部から前下行枝と回旋枝にまたがる位置にあり, 瘤内腔は造影され, 左主幹部に90%狭窄を認めた. 冠危険因子に乏しく, 冠状動脈造影からみた形態上は動脈瘤および冠状動脈狭窄の成因として血管炎が考えられた. 左室前壁と心尖部にviabilityを認めたため, 冠状動脈バイパス術を施行した. 成人の冠状動脈瘤のうち左冠状動脈主幹部に存在する瘤は頻度的にまれであり, 報告する. 冠状動脈瘤は古くは剖検により, 近年は冠状動脈造影の発達によって生前に数多くの報告がされている.
ISSN:0586-4488