冠動脈塞栓症による急性心筋梗塞を発症した非弁膜症性心房細動の1例

症例は73歳, 女性. 慢性心房細動, 高血圧症のため近医通院中であったが, 1997年8月26日に突然の前胸部痛が出現した. 心電図は心房細動で, 明らかなST-T変化を認めなかったが, 頻拍性心室調律の出現があり, 急性心筋梗塞を疑った. 発症2時間後に施行した緊急冠動脈造影にて左回旋枝#13の完全閉塞所見を認め, 冠動脈内血栓溶解療法を行ったが, 再開通は得られなかった. 第17病日の冠動脈造影では閉塞部位は正常冠動脈像を呈していた. また, 本症例は非弁膜症性心房細動であるが, 経食道心エコー図では左房拡大, 心房中隔運動の低下および左心耳血流速度の低下を認めた. 急性期および慢性期の...

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Veröffentlicht in:心臓 1998-06, Vol.30 (6), p.378-382
Hauptverfasser: 篠原尚典, 添木武, 武市直樹, 由井靖子, 福田信夫, 田村禎通
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は73歳, 女性. 慢性心房細動, 高血圧症のため近医通院中であったが, 1997年8月26日に突然の前胸部痛が出現した. 心電図は心房細動で, 明らかなST-T変化を認めなかったが, 頻拍性心室調律の出現があり, 急性心筋梗塞を疑った. 発症2時間後に施行した緊急冠動脈造影にて左回旋枝#13の完全閉塞所見を認め, 冠動脈内血栓溶解療法を行ったが, 再開通は得られなかった. 第17病日の冠動脈造影では閉塞部位は正常冠動脈像を呈していた. また, 本症例は非弁膜症性心房細動であるが, 経食道心エコー図では左房拡大, 心房中隔運動の低下および左心耳血流速度の低下を認めた. 急性期および慢性期の冠動脈造影所見, 経食道心エコー法による左房内動態の観察より, 本症例は慢性心房細動の経過中に, 左房内血栓に起因する冠動脈塞栓症による急性心筋梗塞を発症したと考えられ, 若干の考察を加え報告する.
ISSN:0586-4488