心不全・心肥大におけるエンドセリンの病態生理的役割
血管内皮細胞が産生する強力な血管収縮作用を有するエンドセリン(ET)-1は, 心筋細胞でも産生されることが判明している. 心臓においてET-1は強力な心筋肥大促進作用や陽性変時・変力作用を有し, またET-1は心筋細胞に傷害を引き起こす作用も有することが報告されている. 本研究にて, ラットの疾患モデルを用いて, 心不全・心肥大における内因性ET-1の病態生理的役割について検討した. 肥大心モデルの作製のため, ラットに腹部大動脈狭窄(Aortic Banding)の手術を行った(AB群). 慢性心不全(Chronic Heart Failure)モデルの作製のため, ラットに冠動脈結紮の手術...
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Veröffentlicht in: | 心臓 1996-05, Vol.28 (5), p.439-451 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 血管内皮細胞が産生する強力な血管収縮作用を有するエンドセリン(ET)-1は, 心筋細胞でも産生されることが判明している. 心臓においてET-1は強力な心筋肥大促進作用や陽性変時・変力作用を有し, またET-1は心筋細胞に傷害を引き起こす作用も有することが報告されている. 本研究にて, ラットの疾患モデルを用いて, 心不全・心肥大における内因性ET-1の病態生理的役割について検討した. 肥大心モデルの作製のため, ラットに腹部大動脈狭窄(Aortic Banding)の手術を行った(AB群). 慢性心不全(Chronic Heart Failure)モデルの作製のため, ラットに冠動脈結紮の手術を行い心筋梗塞を作製した(CHF群). また, 対照としてそれぞれの群に対するSham手術を行った. AB群の左室においてET-1mRNAの発現は, 手術後8時間から7日間にわたって, 対照群よりも著明に増大していた. 左室ET-1レベルも同様の変化であった. ET受容体遮断薬であるBQ-123の1週間持続投与は, AB群の左室肥大を著明に改善した. 一方, 心不全期(手術後3週間)のラットの左室にて, ET-1mRNAの発現は対照群よりも著明に増大していた. 左室ET-1レベル(ペプチドレベル)も著明に増大していた. CHF群に対するBQ-123の3ヵ月の持続投与は, CHF群の死亡率を著明に改善させた. さらに, 生存したラットにて左心機能や肺高血圧の改善がみられた. 以上より, 内因性ET-1は心肥大の進展や心不全の悪化に関与しており, ET受容体遮断薬はこれらの病態を改善させる新しい治療薬になりうることが示唆された. |
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ISSN: | 0586-4488 |