ステロイド投与が有効であった好酸球増多を伴う急性心膜心筋炎の1例

好酸球増多を伴う急性心膜心筋炎を発症し, ステロイド投与が有効であった若年女性例を経験したので報告する. 症例は20歳女性, 主訴は胸部圧迫感. 入院時軽度の好酸球増多(567/立方ミリメートル)と心電図で右軸偏位・低電位差・陰性T波を, 胸部X線で心拡大と両側の胸水貯留を, 心エコー図で心のう水貯留と心筋のび漫性の肥厚と壁運動の低下を, 右心カテーテル検査で肺毛細管楔入圧(25mmHg)・右室拡張末期圧(24mmHg)・右房圧(22mmHg)の著明な上昇と心係数(1.9リットル/分/平方メートル)の著明な低下, およびdip and plateau様の右室心内圧波形を認め, 急性心膜心筋炎と...

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Veröffentlicht in:心臓 1996-02, Vol.28 (2), p.135-141
Hauptverfasser: 荒木勉, 藤野陽, 田口富雄, 瀧本弘明, 東福要平, 清水賢巳
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:好酸球増多を伴う急性心膜心筋炎を発症し, ステロイド投与が有効であった若年女性例を経験したので報告する. 症例は20歳女性, 主訴は胸部圧迫感. 入院時軽度の好酸球増多(567/立方ミリメートル)と心電図で右軸偏位・低電位差・陰性T波を, 胸部X線で心拡大と両側の胸水貯留を, 心エコー図で心のう水貯留と心筋のび漫性の肥厚と壁運動の低下を, 右心カテーテル検査で肺毛細管楔入圧(25mmHg)・右室拡張末期圧(24mmHg)・右房圧(22mmHg)の著明な上昇と心係数(1.9リットル/分/平方メートル)の著明な低下, およびdip and plateau様の右室心内圧波形を認め, 急性心膜心筋炎と診断した. ドブタミンとフロセミドの投与により血行動態は改善したが, 心エコー図所見は不変で, 好酸球増多がさらに進行(1,215/立方ミリメートル)したことより, 心膜心筋炎の原因に何らかのアレルギー機序が関係しているものと推定し, ステロイド投与を開始した. 投与開始後, 末梢血の好酸球は速やかに消失し, 約3週間の経過で心電図・胸部X線・心エコー図所見ともにほぼ正常化した. 好酸球増多および心筋心膜炎の原因を特定することはできなかったが, 臨床上心のう水貯留(心膜炎)を主体として心タンポナーデに近い血行動態を示し, 治療上ステロイド投与が有効であった点で, 好酸球増多と心疾患の関連を考察する上での貴重な症例と考え報告した.
ISSN:0586-4488