冠攣縮による純中隔梗塞の1例

急性期心電図, 心エコー図, MRIにて純中隔梗塞が疑われ慢性期冠動脈造影時のアセチルコリン冠動脈注入にて第1中隔枝に完全閉塞が誘発され中隔枝のスパズムによると思われる純中隔梗塞の1例を経験したので報告する. 症例は55歳, 男性. 持続する左前胸部痛のため近医受診, 心電図上右脚ブロックを, また心エコー図上心室中隔の基部に限局した壁運動の低下部位を認めたため, 急性心筋梗塞と診断され入院した. 急性期冠動脈造影は施行されておらず, また心筋逸脱酵素の上昇も明らかではなかった. 発症12日目に施行されたGd-DTPA造影MRI検査では心室中隔の基部にガドリニウムの造影効果を認めた. 当院には...

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Veröffentlicht in:心臓 1995-11, Vol.27 (11), p.995-999
Hauptverfasser: 池田俊太郎, 原裕二, 江里正弘, 阿部充伯, 藤原康史, 末次正治, 野本良一, 濱田範子, 赤松明, 城忠文, 福田浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:急性期心電図, 心エコー図, MRIにて純中隔梗塞が疑われ慢性期冠動脈造影時のアセチルコリン冠動脈注入にて第1中隔枝に完全閉塞が誘発され中隔枝のスパズムによると思われる純中隔梗塞の1例を経験したので報告する. 症例は55歳, 男性. 持続する左前胸部痛のため近医受診, 心電図上右脚ブロックを, また心エコー図上心室中隔の基部に限局した壁運動の低下部位を認めたため, 急性心筋梗塞と診断され入院した. 急性期冠動脈造影は施行されておらず, また心筋逸脱酵素の上昇も明らかではなかった. 発症12日目に施行されたGd-DTPA造影MRI検査では心室中隔の基部にガドリニウムの造影効果を認めた. 当院には慢性期の心臓カテーテル検査目的にて入院した. ^^201 T1心筋シンチグラフィーでは心室中隔に欠損像を認めた. 心臓カテーテル検査では左室造影で左前斜位像にて心室中隔の基部にakinesisを認めた. 冠動脈造影ではコントロール造影にて左右冠動脈ともに狭窄を認めなかったためアセチルコリン負荷試験を施行した. 右冠動脈では有意なスパズムは誘発されなかったが, 左冠動脈はアセチルコリン20μgの冠動脈注入にて左前下行枝の第1中隔枝に完全閉塞が誘発された. 急性期心電図, MRI, ^^201 T1心筋シンチグラフィー, 左室造影より純中隔梗塞と診断し, アセチルコリンにより高度冠攣縮を呈した第1中隔枝が梗塞責任部位と判定した. 以上, 中隔枝のスパズムによると思われる純中隔梗塞の1例を報告する.
ISSN:0586-4488