結紮術後再開通した動脈管開存症に内科的治療に難渋するNutritionally variant Streptococcusによる感染性心内膜炎を合併した1例

症例は45歳, 女性. 幼少時から心雑音を指摘される. 19歳時に動脈管開存症の手術を受けるも30歳時に再度心雑音を指摘される. 平成2年9月に人工妊娠中絶手術を受けた後, 11月から弛張熱が持続し, 平成3年1月に当院を受診する. 胸骨左縁第2肋間に連続性雑音を聴取し, 心臓超音波検査で肺動脈内にエコー輝度のほぼ均一な巨大疣腫を認め, 大動脈造影で肺動脈への短絡血流を確認した. 血液培養で内科的治療に難渋するといわれているNutritionally variant streptococcusの一群に属するStreptococcus morbillorumを検出した. 以上から感染性心内膜炎を...

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Veröffentlicht in:心臓 1995-11, Vol.27 (11), p.983-988
Hauptverfasser: 林孝浩, 池田宗一郎, 川口慶一, 小竹親夫, 瀬尾俊彦, 戸田常紀, 小林克也, 谷村信宏, 神田裕史, 司尾和紀, 千原久幸
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は45歳, 女性. 幼少時から心雑音を指摘される. 19歳時に動脈管開存症の手術を受けるも30歳時に再度心雑音を指摘される. 平成2年9月に人工妊娠中絶手術を受けた後, 11月から弛張熱が持続し, 平成3年1月に当院を受診する. 胸骨左縁第2肋間に連続性雑音を聴取し, 心臓超音波検査で肺動脈内にエコー輝度のほぼ均一な巨大疣腫を認め, 大動脈造影で肺動脈への短絡血流を確認した. 血液培養で内科的治療に難渋するといわれているNutritionally variant streptococcusの一群に属するStreptococcus morbillorumを検出した. 以上から感染性心内膜炎を合併した結紮術後再開通した動脈管開存症と診断した. ペニシリン単独療法やアミノグリコシド系抗生剤との併用療法を行うも治療に抵抗し, さらに肺塞栓症を合併, 心不全症状も増悪したため, 疣腫除去術および動脈管閉塞術を施行した. 術後は速やかに解熱し, 炎症反応も改善した. 動脈管開存症では結紮術後再開通症例が少なからず存在すること, 難治性の感染性心内膜炎においてはNutritionally variant streptococcusの存在も念頭に置き, 早期手術も考慮しなければならないことなど診断, 治療において参考となる興味深い症例と思い報告した.
ISSN:0586-4488