心不全における内因性ANPの意義
心不全では心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の分泌が亢進する. このペプチドは血管拡張作用, 利尿作用によって心不全を代償しているが, 重症心不全ではこの代償作用が減弱している可能性がある. 軽症と重症の慢性心不全患者の肺動脈, 肺毛細管部位, 大腿動脈, 大腿静脈のANP, セカンドメッセンジャーであるcGMP濃度, 心拍出量を測定して, 肺循環, 体循環におけるANPの代謝量とcGMPの産生量を算出した. 重症心不全ではANPの代謝量に比較してcGMPの産生量が著しく減弱しており, ANP受容体のdown-regulationが推定された. イヌ高頻拍心不全モデルを作りANP受容体拮抗...
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Veröffentlicht in: | 心臓 1995-07, Vol.27 (7), p.670-681 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 心不全では心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の分泌が亢進する. このペプチドは血管拡張作用, 利尿作用によって心不全を代償しているが, 重症心不全ではこの代償作用が減弱している可能性がある. 軽症と重症の慢性心不全患者の肺動脈, 肺毛細管部位, 大腿動脈, 大腿静脈のANP, セカンドメッセンジャーであるcGMP濃度, 心拍出量を測定して, 肺循環, 体循環におけるANPの代謝量とcGMPの産生量を算出した. 重症心不全ではANPの代謝量に比較してcGMPの産生量が著しく減弱しており, ANP受容体のdown-regulationが推定された. イヌ高頻拍心不全モデルを作りANP受容体拮抗薬であるHS-142-1を投与したところ重症心不全では血中, 尿中のcGMPは1/3に減少したが, 心腎血行動態値は変化せず, ナトリウム, 水排泄は著しく減少した. また血中ノルエピネフリン, レニン活性値, アルドステロン値を上昇させた. このことから内因性ANPは重症心不全で血管拡張作用は減少しているが, 腎髄質における水, ナトリウム調節を行い, 交感神経, レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系の抑制作用を発揮しているものと結論される. |
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ISSN: | 0586-4488 |