短期間に著しい心電図変化と心エコー図経過をたどった急性心筋炎の1症例

症例は40歳男性. 1992年8月18日に感冒様症状に続く胸痛のため来院. 左脚ブロック型のQRS波形を有する完全房室ブロックと心筋逸脱酵素の上昇を認め急性心筋炎の疑いで入院した. 第2病日には血圧, 尿量低下に加え心室頻拍も出現し, pre-shock状態となったが, 翌日より心不全症状は急速に改善した. 第2病日に施行した心エコー図検査ではasynchronyを伴う著しい壁運動の低下はあるものの内腔拡大所見はなかったが, 臨床的に心不全状態から離脱した第5病日に再検した心エコー図ではasynchronyは消失したが壁運動自体には改善なく左室内腔の拡大を認めた. 左室の壁運動障害ならびに内腔...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心臓 1995, Vol.27 (1), p.54-61
Hauptverfasser: 佐藤康弘, 高橋涼子, 副島洋行, 田中千博, 飯泉智弘, 椎貝達夫, 廣江道昭, 丸茂文昭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:症例は40歳男性. 1992年8月18日に感冒様症状に続く胸痛のため来院. 左脚ブロック型のQRS波形を有する完全房室ブロックと心筋逸脱酵素の上昇を認め急性心筋炎の疑いで入院した. 第2病日には血圧, 尿量低下に加え心室頻拍も出現し, pre-shock状態となったが, 翌日より心不全症状は急速に改善した. 第2病日に施行した心エコー図検査ではasynchronyを伴う著しい壁運動の低下はあるものの内腔拡大所見はなかったが, 臨床的に心不全状態から離脱した第5病日に再検した心エコー図ではasynchronyは消失したが壁運動自体には改善なく左室内腔の拡大を認めた. 左室の壁運動障害ならびに内腔拡大所見は経過とともに改善し, 第22病日に施行した心臓カテーテル検査には左室駆出率は正常化しており冠動脈にも有意狭窄病変を認めなかった. 以上より本症例は急性心筋炎と考えられた. 本症において急性期の心収縮力低下による低心拍出状態は内腔拡大により代償されているが, 経時的に心エコー図検査を繰り返したところ収縮障害が主体な時期と代償性に左室内腔の拡大が生じた時期との分離が可能であった. このように心エコー図検査はbedsideでかつnoninvasiveに繰り返し記録が可能であり本症例のように心機能の急激な変化を比較するには非常に有用である.
ISSN:0586-4488