超高度精白米を用いた純米大吟醸の試験製造とその品質
2.8%精米の超高度精白米は全て無心白米で,35%精米と比較して粗タンパク質が少なくなっていたが,米に含まれる主要なタンパク質組成に大きな変化はみられなかった。また,超高度精白米を用いて製造した麹は,35%精米の大吟醸麹と比較して,A活性が低く,ACP活性が高いという特徴を示した。この高いACP活性は,タンパク質が少ない超高度精白米を用いた醸造において,酵母の代謝(発酵)に最小限必要なアミノ酸を供給する役割を果たしていると考えられる。上記のような特徴を持つ超高度精白米とその麹を用いても,酒母,もろみ共に,一般的な大吟醸造りの指標に沿った管理,製造が可能であった。精米歩合の違いの観点から,35%...
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Veröffentlicht in: | Nippon Jōzō Kyōkaishi 2023-06, Vol.118 (6), p.425-435 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 2.8%精米の超高度精白米は全て無心白米で,35%精米と比較して粗タンパク質が少なくなっていたが,米に含まれる主要なタンパク質組成に大きな変化はみられなかった。また,超高度精白米を用いて製造した麹は,35%精米の大吟醸麹と比較して,A活性が低く,ACP活性が高いという特徴を示した。この高いACP活性は,タンパク質が少ない超高度精白米を用いた醸造において,酵母の代謝(発酵)に最小限必要なアミノ酸を供給する役割を果たしていると考えられる。上記のような特徴を持つ超高度精白米とその麹を用いても,酒母,もろみ共に,一般的な大吟醸造りの指標に沿った管理,製造が可能であった。精米歩合の違いの観点から,35%精米と比較した超高度精白米の製成酒は,(1)アミノ酸総量が半分以下であり,主要アミノ酸におけるプロリンの組成が高く,タウリン量が多い,(2)有機酸総量はやや少ないが,酢酸が多い,(3)グリセロール,長鎖脂肪酸とそのエチルエステルが多い一方で,短鎖脂肪酸エチルエステルと高級アルコールは少ない,という特徴がみられた。さらに,超高度精白米を用いたもろみでは,発酵終了時まで酵母の死滅が確認されず,特徴的に多くなっていたタウリンやグリセロール等の寄与が推測された。このように,超高度精白米を用いると,製成酒においてアミノ酸が少なくなるだけではなく,発酵中における酵母の代謝活性に様々な変化が生じることが推察され,これまでにない特徴を持った酒質の清酒製造が可能になると考えられる。 |
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ISSN: | 0914-7314 |