カンキツ育種における単胚性・多胚性の識別マーカーの有効性

農研機構が開発した胚性識別マーカーを既存品種、愛媛育成系統、交雑個体に適用し、交雑育種において単胚性個体選抜に実用可能か検討した。1)既存品種14品種と愛媛育成系統9系統にマーカーを適用したところ、すべての品種・系統において胚性を識別する多型が得られた。判明している胚型表現型と照合したところすべて一致し、胚性を正確に識別できることが示された。また、多胚性品種が対立遺伝子をホモ接合体で持つかヘテロ接合体で持つかを識別できることも明らかとなった。多胚性対立遺伝子は単胚性対立遺伝子に対し優性を示すことから、花粉親の候補となる多胚性品種選抜に利用することで、単胚性個体を効率よく作出する手がかりになると...

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Veröffentlicht in:愛媛県農林水産研究所果樹研究センター研究報告 2023-03 (7), p.9-15
Hauptverfasser: 山本, 紗綺, 三好, 沙季, 岡本, 充智, 旭置, 桐哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:農研機構が開発した胚性識別マーカーを既存品種、愛媛育成系統、交雑個体に適用し、交雑育種において単胚性個体選抜に実用可能か検討した。1)既存品種14品種と愛媛育成系統9系統にマーカーを適用したところ、すべての品種・系統において胚性を識別する多型が得られた。判明している胚型表現型と照合したところすべて一致し、胚性を正確に識別できることが示された。また、多胚性品種が対立遺伝子をホモ接合体で持つかヘテロ接合体で持つかを識別できることも明らかとなった。多胚性対立遺伝子は単胚性対立遺伝子に対し優性を示すことから、花粉親の候補となる多胚性品種選抜に利用することで、単胚性個体を効率よく作出する手がかりになると考えられる。2)交雑個体を用いた試験では、既存品種、愛媛育成系統と同様にすべての個体で胚性を識別する多型が得られた。隔年結果等により種子を得られなかった個体を除き、種子調査を行ったすべての個体でマーカー識別結果と胚性表現型が一致した。この結果から、識別マーカーは結実前に胚性を識別し、個体を選抜できる能力を持つことが示された。
ISSN:1883-7220