トビイロケアリ(ハチ目:アリ科)のコロニー成長に及ぼす照度の影響

環境の照度が,結婚飛行直後のトビイロケアリ女王によるコロニー発達に与える影響について調べた。女王アリを採集後,50~3000luxの異なる照度条件下で飼育した。温度条件は25℃,光周期条件は12L-12D,16L-8Dとした。飼育開始から20日間は毎日,その後週に2度の頻度で卵,幼虫,蛹,働きアリ数を記録した。いずれの条件下でも女王は採集直後から産卵を開始した。低照度条件では,幼虫,蛹,成虫が出現し,コロニー発達は活発に行われたが,3000luxでは幼虫の出現が抑制され,特に16L-8Dでは孵化が確認されたコロニーはなかった。また,照度が高くなるにつれてコロニー発達が強く抑制される傾向が認めら...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2023-02, Vol.67 (1), p.15-23
Hauptverfasser: 黒木, 出, 大槻, 達也, 中村, 圭司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:環境の照度が,結婚飛行直後のトビイロケアリ女王によるコロニー発達に与える影響について調べた。女王アリを採集後,50~3000luxの異なる照度条件下で飼育した。温度条件は25℃,光周期条件は12L-12D,16L-8Dとした。飼育開始から20日間は毎日,その後週に2度の頻度で卵,幼虫,蛹,働きアリ数を記録した。いずれの条件下でも女王は採集直後から産卵を開始した。低照度条件では,幼虫,蛹,成虫が出現し,コロニー発達は活発に行われたが,3000luxでは幼虫の出現が抑制され,特に16L-8Dでは孵化が確認されたコロニーはなかった。また,照度が高くなるにつれてコロニー発達が強く抑制される傾向が認められた。結婚飛行直後の女王が確認されることが多い場所の照度を測定したところ,コロニー発達が可能な範囲の照度であった。トビイロケアリ女王は,栄養の損失を少なくするために地表付近でコロニーを創設するが,周囲の環境が攪乱する可能性がある。そこで,その場所の照度に応じてコロニー発達を抑制することで,コロニーが全滅する危険を回避している可能性が考えられる。
ISSN:0021-4914