ゴボウヒゲナガアブラムシ(カメムシ目:アブラムシ科)の発育・増殖特性および薬剤処理の効果

ゴボウを加害するゴボウヒゲナガアブラムシの発育・増殖特性と薬剤の効果について検討を行った。本種の発育零点は5.27℃,有効積算温度は141.71日度,内的な発育最適温度は19.22℃と算出され,27℃では発育遅延を生じ,32℃では幼虫期に全て死亡し羽化しなかった。そのため,本種は他種のアブラムシ類と同様,低温には強いものの高温には弱いことが明らかになった。また,内的自然増加率は,12℃で最も低く(0.26),次いで17℃(0.29),22℃(0.51)の順に高くなり,他種アブラムシ類と比較すると低温において本種の増殖能力は高いことが示された。さらに,10種の殺虫剤の常用濃度における殺虫効果を検...

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Veröffentlicht in:Nihon Ōyō Dōbutsu Konchū Gakkai shi 2022-11, Vol.66 (4), p.123-134
Hauptverfasser: 上室, 剛, 溜池, 雄志, 福田, 健
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ゴボウを加害するゴボウヒゲナガアブラムシの発育・増殖特性と薬剤の効果について検討を行った。本種の発育零点は5.27℃,有効積算温度は141.71日度,内的な発育最適温度は19.22℃と算出され,27℃では発育遅延を生じ,32℃では幼虫期に全て死亡し羽化しなかった。そのため,本種は他種のアブラムシ類と同様,低温には強いものの高温には弱いことが明らかになった。また,内的自然増加率は,12℃で最も低く(0.26),次いで17℃(0.29),22℃(0.51)の順に高くなり,他種アブラムシ類と比較すると低温において本種の増殖能力は高いことが示された。さらに,10種の殺虫剤の常用濃度における殺虫効果を検討した結果,全ての殺虫剤で効果が高かったことから,現在のところ本種の薬剤感受性は高いとみられる。圃場試験では,クロチアニジン粒剤を土壌の2cmおよび5cmの深さに6kg/10aで処理すると,土壌表面処理や無処理に比べゴボウヒゲナガアブラムシの密度を抑制した。また,アセタミプリド粒剤を5cmの深さに6kg/10aで処理すると,クロチアニジン粒剤と同様の密度抑制効果を示し,半量の施用でも有効性の低下は認められなかった。そのため,両剤の土壌中への施用は,本種の効率的な防除に寄与できる可能性が示された。
ISSN:0021-4914