臍帯炎を伴った新生子牛の腸管外病原性大腸菌による化膿性髄膜炎

正常分娩で生まれた黒毛和種子牛が,出生直後から,起立不能と食欲廃絶を呈し生後2日で死亡した。剖検では,臍帯に明らかな異常はみられなかったが,病理組織学的検査で臍帯炎がみられ,大脳から延髄にかけて髄膜炎がみられた。一方,細菌学的検査は臍帯について未実施であったが,心臓,肺,肝臓,脾臓,腎臓及び大脳から腸管外病原性大腸菌(Extraintestinal pathogenic Escherichia coli : ExPEC)が分離された。大脳及び肺から分離された大腸菌を用い,O-genotyping PCRを実施した結果,Og15遺伝子が陽性となり,免疫組織化学的検査では大脳から延髄及び臍帯の病変...

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Veröffentlicht in:Nippon Juishikai zasshi 2022-05, Vol.75 (5), p.e51-e55
Hauptverfasser: 井上, 恭彰, 矢口, 弘美, 平松, 美裕子, 和田, 好洋
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:正常分娩で生まれた黒毛和種子牛が,出生直後から,起立不能と食欲廃絶を呈し生後2日で死亡した。剖検では,臍帯に明らかな異常はみられなかったが,病理組織学的検査で臍帯炎がみられ,大脳から延髄にかけて髄膜炎がみられた。一方,細菌学的検査は臍帯について未実施であったが,心臓,肺,肝臓,脾臓,腎臓及び大脳から腸管外病原性大腸菌(Extraintestinal pathogenic Escherichia coli : ExPEC)が分離された。大脳及び肺から分離された大腸菌を用い,O-genotyping PCRを実施した結果,Og15遺伝子が陽性となり,免疫組織化学的検査では大脳から延髄及び臍帯の病変に一致して大腸菌O15抗原が検出された。以上より,本症例を,臍帯炎を伴ったExPECによる化膿性髄膜炎と診断した。新生子牛で髄膜炎を疑う場合,臨床的に臍帯に異常がみられなくても,臍帯部の検査が必要であると考えられた。
ISSN:0446-6454