酒粕の抗酸化性およびアンジオテンシン阻害活性に及ぼす貯蔵の影響

酒粕の機能性に及ぼす貯蔵の影響を明らかにすることを目的に,吟醸酒,純米酒,普通酒など精米歩合や製造方法の異なる酒粕を貯蔵し,それらのDPPHラジカル消去活性,ORACおよびACE阻害活性の変化を比較した。DPPHラジカル消去活性,H-ORACおよびTotal ORACは,5 ℃および20 ℃の両貯蔵温度においてすべての精米歩合の試料で貯蔵中に有意に増加した。L-OARCは5 ℃の貯蔵においてすべての精米歩合の試料で貯蔵後に有意な増加が認められたが,20 ℃の貯蔵では,60%純米酒の酒粕を除いて有意な増加は示さなかった。ACE阻害活性は純米酒で両貯蔵温度において,大吟醸酒で20 ℃貯蔵においての...

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Veröffentlicht in:Nippon Jōzō Kyōkaishi 2022, Vol.117(5), pp.364-373
Hauptverfasser: 谷本, 昌太, 近藤, 留未, 岩佐, 美月, 大石, 綾乃, 田辺, 詩織, 古田, 歩, 馬渕, 良太
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:酒粕の機能性に及ぼす貯蔵の影響を明らかにすることを目的に,吟醸酒,純米酒,普通酒など精米歩合や製造方法の異なる酒粕を貯蔵し,それらのDPPHラジカル消去活性,ORACおよびACE阻害活性の変化を比較した。DPPHラジカル消去活性,H-ORACおよびTotal ORACは,5 ℃および20 ℃の両貯蔵温度においてすべての精米歩合の試料で貯蔵中に有意に増加した。L-OARCは5 ℃の貯蔵においてすべての精米歩合の試料で貯蔵後に有意な増加が認められたが,20 ℃の貯蔵では,60%純米酒の酒粕を除いて有意な増加は示さなかった。ACE阻害活性は純米酒で両貯蔵温度において,大吟醸酒で20 ℃貯蔵においてのみ有意な活性の増加が認められた。フェノール性化合物,酸度,アミノ酸度,L*値およびa*値がDPPHラジカル消去活性,H-LORACおよびTotal ORACと強い有意な相関を示した。一方,L-ORACおよびACE阻害活性は,フェノール性化合物,ペプチド含量およびb*値を除く項目と有意な相関が認められたが中程度の相関であった。階層的クラスター分析の結果は,貯蔵後の精米歩合の高い酒粕がいずれの貯蔵温度においても高い抗酸化性およびACE阻害活性を有する可能性を示唆した。以上の結果から,親水性物質による抗酸化活性は,酒粕の貯蔵中に増加するが,脂溶性物質による抗酸化性およびACE阻害活性は,精米歩合(製法)や貯蔵条件によることが示唆された。
ISSN:0914-7314
2186-4012
DOI:10.6013/jbrewsocjapan.117.364